怖すぎて映像化できない物語
今日は寒の戻りのピークとのことなので、神戸も真冬らしい天気と気温だった。晴れ間があるけれど突然曇るし、風はかなり冷たい。最高気温も二桁に届きそうにない。でも明日からは少しずつ気温が上がり、来週以降はいよいよ春らしい陽気になるそう。
今日の午前中は急用があったので、朝イチにホームセンターへ行ったりでバタバタしていた。自宅にいる予定の日だけれど、結果として1万2千歩ほど歩いた。さすがにちょっと疲れたので、今夜の読書は眠気との戦いになりそう。
さて、追いかけているシリーズ作で最恐かと思われる物語を読んだ。
2025年 読書#26
『陰陽師 瀧夜叉姫』下巻 夢枕獏 著という小説。安倍晴明と源博雅が不思議な事件を解決する『陰陽師』シリーズの作品。
全体としては短編集がほとんどだけれど、いくつか長編作品がある。これは上下巻に分かれた長編作品で、上巻の感想については『平将門の怨霊は恐ろしい』という記事に書いているので参照を。
上巻では平将門の乱で鎮圧にあたった貴族や武士たちが異様な病気や不思議な事件に巻き込まれた。それらを調べた安倍晴明と源博雅は、死罪となった平将門を復活させようという陰謀があることを突き止めた。下巻でその黒幕が明らかになった。
これは伝説に基づいた物語なので、ホラーだけではなくファンタジー作品としても楽しめる。ただしかなりエグいし恐ろしい。だから面白いけれどこのまま映像化できない内容だと思う。だって首無しの死体が歩き回ったり、妊婦の腹を裂いて胎児の内臓を食べる場面があったりするから。
死んだはずの平将門が蘇ったのは、彼が生前にすでに鬼と化していたから。正室と子供を朝廷軍に殺された恨みから、鬼と化して朝廷を滅ぼそうとしていた。でも俵藤太こと藤原秀郷が持つ魔力のある太刀で将門は20年前に殺されている。その太刀で切られた傷は、20年経たないと治らないと言われている。
つまりバラバラになった将門の肉体を集めた黒幕が、20年の時を経て将門を復活させた。そして再び天下を朝廷から奪い返そうとしていた。結果として晴明たちによってその陰謀は阻止された。さて、その黒幕とは?
物語の展開としては、興世王という史実においても謎の人物が黒幕だと思わされていた。興世王と将門が組むことによって関東での乱が起きたから。でもそれは興世王と思わせているだけで、本当の黒幕は将門と同じ時期に西日本で反乱を起こした藤原純友だった。
平将門の乱と藤原住友の乱を合わせて、「承平天慶の乱」と呼ばれている。ほぼ同じ時期に起きた乱で、伝説として将門と純友が手を組んで天下を取ろうと誓い合ったという逸話が残っているらしい。平氏の子孫である将門が天皇となり、藤原氏の血を引く純友が関白になるという誓い。
この伝説に基づいて作られたので、この物語の黒幕は藤原純友だった。純友は生前の将門に接触して、最初から術をかけて鬼にするつもりだった。だから朝廷によって将門の妻子が殺されたように見せかけた。実際に殺したのは純友で、彼の怒りを利用して鬼にしようとしたから。
とにかく今回の長編は面白い。でもマジで怖い内容だった。かなりエグいけれど、もし誰かが原作のまま映像化したら絶対に見るけれどなぁ。
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