泥酔した翌朝のような映画
まだ冬の寒さが残っている神戸。天気は良かったけれど肌寒い1日だった。でもようやく明日からは春らしい陽気が戻ってきそう。
Xでもポストしたように、ここ数日は午前中にあることでバタバタと忙しい。明日でめどがつきそうなんだけれど、なんとなく疲れがたまっている。こんなときはお酒でも飲んで早く眠るといいかも。でも我が家はアルコールを常備していないのでそうもいかない。
お酒といえば、若い頃は本当によく飲んだ。中高生の頃から飲んでいるような人間だったので、友人からはお酒に関してザルのような「底なし」と呼ばれていた。それほど酒に強いボクでも失敗はいくつかある。
幸い怪我をしたり、他人を傷つけたようなことはない。でも飲みすぎて記憶をなくしたことが何度かある。経験ある人ならわかると思うけれど、あれって本当に怖いよねぇ。途中まで友人と飲んでいたことは覚えている。でもある瞬間からの記憶がない。
とりあえず無事に家に戻っている。ところが二日酔いの頭で昨夜の記憶をたどるけれどどうしても思い出せない。どうして帰ったのかわからない。もしかしたら何かやらかしていないだろうか? あわてて友人に電話をしたときに「別に何もなかったよ」と言われたらホッとする。
でも、「マジ、大変やったで」とか言われたら有罪判決を受けたような気持ちになってしまう。それがもし本当に犯罪だったとしたら? そんな恐怖を描いた映画を観た。
2025年 映画#38
『ミッシング・レポート』(原題:Spinning Man)という2018年のアメリカ映画。写真のガイ・ピアーズとピアース・ブロスナンが共演している。
ガイ・ピアーズ演じるエヴァンは大学教授。彼には軽い記憶障害があるという設定。過去に在籍した大学では、女性学生に手を出したという疑いをかけられて今の大学に移籍した。新天地では優秀な教授で、それ以降は女子学生に対して疑いをかけられないような態度をとっていた。
ある日、女子学生が行方不明になる。目撃証言によると、女子学生が行方不明になる直前にエヴァンの自動車が目撃されていた。ピアース・ブロスナン演じるマロイ刑事はエヴァンの自動車を調べたいと任意捜査を申し入れる。
ところがエヴァンは拒否した。このあたり態度が怪しいのは、彼の記憶障害が影響している。もしかしたら何かやらかしたのでは? という不安が心のどこかにあるから。要するに泥酔して記憶をなくした時の感覚。
でも警察にすれば疑わしい。だから強制的に自動車を押収すると、行方不明女性の毛髪が見つかった。さらに溺死した女子学生の遺体が見つかったことで、エヴァンは容疑者となってしまう。過去の出来事もあるから、彼の妻も夫の犯行を疑ってしまう。
というような内容の映画。ネタバレをすると女性学生は他殺ではなく事故死だった。でも自分の記憶に自信が持てず、妄想癖のあるエヴァンは自ら警察に出頭して妄想の殺人を自白してしまう。もちろん逮捕はされないものの、家庭生活は破綻してしまうというエンディング。
映画の結末としては、まさにこの映画のテーマのように曖昧だった。前半はいい映画だけにラストが残念だった。ただ自分の記憶に自信が持てない恐怖には共感できる。人間のアイデンディティは「記憶」だけで成り立っているから。ガイ・ピアースの演技を楽しむという意味ではいい映画だと思う。
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