適度に不潔が健康にいい
ミューナが旅立って感じるのは、朝の掃除にやりがいがないこと。彼の生前はトイレの砂が飛び散っていたり、ヒゲや体毛が落ちているので掃除をしないと大変なことになる。毎朝リセットするのが必須だった。
今も同じように掃除をしているけれど、ほとんどゴミがない。そう思うと適度に散らかっている状態というのは、それはそれで幸せだったんだね。そういえばボクが子供の頃を思い出すと、衛生面に関しては今と比べものにならないほど適当だった。
トイレは汲み取りだし、夏になるとハエ取り紙にハエがいたり、ネズミや蛇が天井裏を移動したり、お風呂も銭湯が主流だった。小学校の低学年の時には「検便」というものがあった。ギョウ虫検査なんだけれど、実際のウンチをとってマッチ箱に入れて学校に持っていた。今なら考えられない。
その検査がシール式になったときは、科学の進化に感動したもの。外で遊んで怪我をしても血を流しながら川に入ったりしていた。だからといって特に感染症や破傷風にかかったこともない。花粉症もあったんだろうけれど、今ほど大ごとになっていない。学校給食でアレルギーが問題視されたことも、ボクが知っている限りではなかった。
現代社会の方がはるかに清潔になっているのに、なぜだか健康に関するトラブルが増えている。特に免疫に関する項目が、かえって悪化しているように感じてしまう。もしかすると適度に不潔な環境の方が健康に良いのでは? アメリカでも同じようなことが考えられている。
リンク先の記事は米カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが発表した内容をまとめたもの。ISS(国際宇宙ステーション)に長期滞在した宇宙飛行士には、免疫機能の低下や皮膚の炎症、その他の炎症性疾患を頻繁に経験している人が多くいた。
なぜそうなるのか? 検証を進めた結果、ある仮説が注目されるようになった。それはISSが清潔過ぎるのではというもの。宇宙空間で長期間暮らすことを想定しているので、ISSは徹底的に消毒されている。その悪影響が出ている可能性があった。研究チームがISSの内部を調査した結果が興味深い。
(1)ISS内部は微生物の多様性が極端に低い
(2)ISSの微生物はほとんどが人間由来
(3)モジュールごとに異なる微生物のパターン
(4)消毒剤の使用が微生物の多様性を減少させている
ISSは清潔すぎて微生物の種類が極端に偏り、かつ減少していることがわかった。この環境が宇宙飛行士の免疫を低下させていると考えられている。園芸や農作業で土に触れることで免疫力が高まることがある。そうした効果がISSでは期待できないのだろう。
つまり人間の免疫力は、ある程度不潔な環境の方が活性化するのかもしれない。ボクの子供時代を思い出すと、その仮説が正しいように感じる。免疫力を高めるためには、適度な負荷が必要なんだろう。何がなんでも清潔にするのがベストではないのかもね。
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