想像力を食べる悪霊
昨日は最高気温が27度という季節外れの夏日だった。でも今日はこの時期らしい爽やかな空気が入ってきて、夏日手前の涼しい気温で推移している。明日からは6月で梅雨の季節を迎えるから、最後だけは5月らしい気温になって良かった。
今年のテーマは引っ越し。ところが行き先が決まらないまま、明日から今年前半の最後の月に入る。できれば本格的な夏になるまでに引っ越したい。最近妻と話しているのは、希望の100パーセントではなく80パーセントを意識すること。それだけでも選択肢が増えるので、やってみる価値はあると思う。
未来のボクたち夫婦からすれば、すでに住んでいる場所は決まっている。だけど「今」の世界にいるボクたちが過ごしているのは、期待と不安が入り混じった未確定な世界。だからこそ楽しいんだろうけれど、さすがに半年近くやっていると疲れてくるよなぁ。今日も神社にお参りしてきた。どうぞいい部屋が現れますように。
さて、オーソドックスなホラー映画なんだけれど、恐怖の切り込み口がユニークな作品を観た。
2025年 映画#91
『イマジナリー』(原題:Imaginary)という2024年のアメリカ映画。昨年の作品なのでネタバレしないように注意しよう。
オーソドックスといったのはこの作品の設定。主人公は児童文学作家のジェシカ。夫にはテイラーという15歳と写真のアリスという二人の連れ子がいる。娘たちの母は心を病んで、末娘のアリスを傷つけたことで精神病院に入院していた。
一家が引っ越したのはジェシカが5歳まで育った祖父母の家。この実家に戻るという設定はよくある。この家にジェシカに関わる悪霊がいて、幼いアリスが取り憑かれるという設定もホラー映画あるあるのパターン。つまり悪霊の原因がジェシカにあるということ。
その悪霊というのは先ほどの写真でアリスが抱いているぬいぐるみのクマ。『イマジナリー』というタイトルでわかるように、子供が心で創るイマジナリー・フレンドがこの映画のテーマ。アリスがこのクマに話しかけたことで、家族はイマジナリー・フレンドだと思っていた。
ところがそれは悪霊だったというよくあるパターン。ところがこのクマにはちょっとした仕掛けがあって、映画の後半である事実が明らかになる。その仕掛けによって、ジェシカの関わり方が明らかになってくる。この悪霊の好物は人間の想像力。だから作家になるほどのジェシカは、悪霊が求める強い想像力を持っている。
やがてアリスはチョンシーと名乗るイマジナリー・フレンドに異世界へと連れ去られる。継母であるジェシカと姉のテイラーはアリスを助けようとする。このパターンも『ポルター・ガイスト』やパトリック・ウィルソンが主演した『インシディアス』という作品と同じ。
ところがこの作品がユニークなのは、異世界が想像力によって創られたという部分。これは普段から明晰夢を見ているボクにすれば、とても馴染み深い世界でもある。自分のイメージによってその世界が変化する。つまりジェシカがその世界からアリスを救い出すには、悪霊に負けない強烈な想像力が必要だということ。
オーソドックスなパターンを踏襲しつつも、「想像力」をメインテーマにしたことで独自の世界観を持つホラー映画になったと思う。ホラー作品のファンの人なら、一見の価値がある映画だと思う。
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