27年5ヶ月の刑務所生活
今日は天気予報通りの雨で、お昼過ぎまで本降りの雨が続いていた。ブログを書いている午後4時頃には少し青空が見えているけれど、今夜にはもう一度まとまった雨が降るそう。
1日中太陽の顔を見られなかったので、最高気温も18度程度でかなり肌寒い。でも今日は引きこもりの予定だったので、快適に過ごすことができた。そんな自由気ままに過ごせる有り難さを痛感する書籍を読んだ。
2025年 読書#45
『自由への長い道──ネルソン・マンデラ自伝』下巻 ネルソン・マンデラ著という本。上巻の感想については『映画より壮絶なアパルトヘイト』という記事に書いているので参照を。『マンデラ 自由への長い道』という映画を観て感動したので、この原作を読むことにした。
この本は南アフリカにおいてアパルトヘイトというおぞましい人種隔離政策を撤廃させ、黒人として初めて大統領となったネルソン・マンデラの自伝。上巻の感想でも書いたように、映画よりはるかに恐ろしい現実を直視せざるを得ない内容だった。
この本を読んだことで、当時の南アフリカの事情や民主化の経緯を詳しく知ることができた。この下巻は主にマンデラ氏の刑務所生活が中心に書かれている。といってもその年数は想像を絶する。
マンデラ氏は1964年に46歳で政治犯として終身刑を受けて収監された。そして釈放されたのは27年5ヶ月後のことだった。ボクは還暦を過ぎた年齢だからわかるけれど、人生後半における27年という時間はかけがえないの大切なもの。なのにその年数を刑務所で拘束されていたなんて。
でもマンデラ氏は刑務所でじっと耐えていただけではない。機会を見つけては刑務所の外に情報を発信したり、最新のニュースを受け取っていた。そのための努力や苦悩は並大抵のものではなく、普通の人間ならとっくに心が折れているだろうと思う。
この下巻のクライマックスは、国際的な圧力に屈した南アフリカの国民党政府が態度を軟化させていく過程。その隙間を縫うように、マンデラ氏や共に収監された人たち、さらに国外に亡命している仲間たちが政府を揺さぶり続けた。
その一方で暴力で白人を追い出そうとする過激派の行動は激化し、警察や軍隊による制圧のために大勢の人が命を落としている。もう少しで南アフリカは内戦に至っても不思議ではない状況だった。もしマンデラ氏等が粘り強く政府と交渉しなければ、取り返しのつかないことになっていただろう。
この本を読了したわかったのは、マンデラ氏たちの民族融和政策が南アフリカを救ったということ。同じアフリカでも黒人が独立を勝ち取った国では、白人勢力を徹底して追い出している。その結果として、かえって黒人同士の民族争いが過激化した。それゆえいまだに内戦状態になっている国が多い。
でもマンデラ氏は白人勢力を追い出すのではなく、同じ南アフリカ人として共存する道を選んだ。それゆえ黒人同士の民族争いも最小限に抑えられた。同じ国の人間としての懐を大きく広げたことで、異なる民族が共存する今の南アフリカが誕生したのだと思う。
ここまでのことは映画だけではとてもわからなかった。マンデラ氏と当時の仲間たちは、とてつもないことをやり遂げるため、同じ時空に生まれてきたんだと思う。人間の運命について言葉にできない『何か』を感じられる自伝だった。
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