あの世を知りたい人にオススメ
今日は久しぶりに朝からいい天気で、午前中は太陽の恩恵をたっぷりと受けることができた。今日は母の日ということで、街の花屋さんではカーネーションが美しく咲き乱れていた。
ボクもこの時期になるを母を思うことが多い。7歳の時に生き別れになったままなので、母の現状はどのようなものか想像もつかない。もし元気ならば今年で83歳になる。5月は母にとって初めての子供であるボクを産んだ月なので、母の日というイベントを通じてボクのことを思い出してくれているかも。
そしてもし母が他界しているとしたら、いつかあの世で会えるだろう。そんなあの世の世界が詳細に書かれた感動的な小説を読んだ。
2025年 読書#47
『奇蹟の輝き』リチャード・マシスン著という小説。1998年に公開された同タイトルの映画がある。ロビン・ウィリアムズが主演した作品で、ボクはこの映画を観て何度涙したことか。わかっているのに感動のラストシーンでボロ泣きしてしまう。
数えきれないほど観ている作品だけれど、映画の印象が強すぎて原作のことを忘れていた。たまたま『地球最後の男』という吸血鬼について書かれた小説を読んで、同じ著者がこの名作映画の原作者だと改めて気づいた。それで早速原作を読んでみることにした。
はっきり言おう。映画に何度も感動したボクだけれど、圧倒的に原作の方が素晴らしい。確かに映像による感動は心を激しく動かす。けれどもこの原作は死後世界についてかなり詳細に書かれていて、映画でそのまま再現するのは難しい。だからあの世について知りたい人は、絶対にこの原作を読むべきだと思う。
ストーリーはシンプル。主人公のクリスは交通事故で死んでしまう。天国の生活に慣れるまで苦労したけれど、平和なその世界で24年間我慢すれば最愛の妻がやってくる。そう思って妻を待とうとしたが、どうにも嫌な予感がしてならない。そして恐ろしい事実がわかる。
夫を亡くした妻のアンは、死後世界のことを全く信じていないかった。だから夫とは永遠に会えないと思い、24年後の天寿を待たずに自殺してしまった。その結果、アンは自殺者の地獄へと自分を閉じ込めてしまう。
アンを救い出すのは無理だとガイドに説得されたクリス。寿命に達する24年間が経てば天国に戻れる。けれど24年間も妻が地獄で暮らすことに耐えられず、クリスは妻の救出に向かう。ところがそれは想像をはるかに絶する苦しくて恐ろしい旅だった。
映画でも同じだけれど、アンが暮らしている地獄はボロボロになった自宅。クリスが目の前に現れても夫だとわからない。それどころか自分の殻に閉じこもっているので、どんな説得も効果がない。なぜなら死後世界は存在しない、とアンは強く確信していたから。
最終的にアンの心を開いたのはクリスの愛だった。アンの説得を諦めたクリスは、それまでの人生における妻との多くの思い出を語って感謝の言葉を重ねた。そして最後にクリスが決めたのは、妻と共に24年間この地獄で暮らすことだった。その強い愛の想いで、ようやくアンはクリスの存在に気づく。
それで地獄から脱したアンだけれど、そのままクリスと天国で暮らすことはできなかった。なぜなら自殺した心の傷を現実世界で癒す必要があった。つまりもう一度転生しなくてはいけない。そこでクリスは新しい挑戦に挑む。なんとアンと同じ時代に自分も転生しようとした。
映画では転生に成功したクリスがアンと再開するシーンがある。この場面を思い出すだけで今でも涙が出てくる。原作では転生に成功したという段階で終わっているけれど、想像力を掻き立てるのでその終わり方がベストだと思う。
とにかくあの世について、さらに生まれ変わりについて知りたい人は、この小説を読むことでその世界の概要を知ることができる。巻末に参考資料が掲載されているけれど、著者は想像を絶するような大量の資料を読み込んでこの作品を書いている。
この小説の世界が『正解』だと言い切るつもりはない。でもボクが体外離脱や明晰夢で何度か訪れた死後世界は、おおむねこの小説の世界と同じ。だから生き別れの母とはこの世で会えなくても、あの世で会えることを確信している。今日はいい母の日だったなぁ。
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