外国人から見た明治維新
今日は朝から完璧な晴天。昼間は近くの私立中高から聞こえてくる運動会の歓声で賑やかな1日だった。そんな楽しげなグラウンドの様子を見ながら、午前中に歯医者さんへ行った。今月の12日の定期検診で見つかった軽微な不具合を治療するため。
2回くらいで終わると先生が言っていた通り、20日と今日の28日で治療が完了。これで完璧な状態なので、また9月の定期検診で通院するだけ。長生きにあまり興味はないけれど、生きている限りはできるだけ無難に過ごしたい。そのために最も大切なのが歯の健康だと思う。またこれでスッキリと過ごせるな。
さて、ボクは日本史オタク。以前は興味がなかった田沼意次時代も、大河ドラマの影響でめちゃ好きになった。でも何よりも大好物なのは南北朝時代、戦国時代、そして幕末から明治維新にかけての時代。
様々な小説や歴史書を読んできたけれど、基本的に日本人が書いたものがほとんど。でも外国人の視点で書かれた明治維新に関する本を読んだ。これが本当に面白くて夢中になってしまった。文庫本で700ページ近くある大作。読了に時間はかかったけれど、当時の日本を新たな視点で感じることができて楽しかった。
2025年 読書#52
『一外交官の見た明治維新』アーネスト・メイスン・サトウ著という本。明治維新に関心のある人なら、アーネスト・サトウという名前を目にすることがあるはず。ボクも数えきれないほど目にしてきた。イギリスの外交官で通訳として活躍した人物として理解している。でも彼の著作を読んだのは初めてだった。
この本がイギリスで出版されたのは1921年のこと。でも本格的に邦訳されて一般の人が読めるようになったのは第二次世界大戦後のことらしい。著者は通算して25年ほど日本にいた。特に幕末から明治にかけて大きく変貌する日本の目撃者でもある。
この本は1861年から1869年の出来事について、外交官としての著者の視点で書かれた回想録。日記をつけていたことと、イギリスの母へ送った手紙を通じて記憶を補填して執筆したそう。それだけにかなり正確な事実が書かれていると思う。
もちろん歴史学者の著作ではないので、中立的な立場で書かれたものではないはず。イギリス人としての彼の立場や、個人的な名声を得るために誇張したり、少し事実を変えたり、あるいは記憶違いの内容も含まれていると思われる。そうした部分を差し引いても、明治維新ファンにはその時代の息吹を感じられる貴重な書籍だと思う。
とにかく幕末から明治にかけての著名人が大河ドラマのように次々と出てくる。それも他人からの伝聞ではなく、著者本人が直接会っている人ばかり。この当時の諸外国は基本的に江戸幕府と交渉をして条約を結んできた。ところがどうにも江戸幕府がヤバい。
そんな状況なので戊辰戦争の開始と同時に諸外国は中立宣言を出している。つまり幕府側にも、そして官軍側にもつかないということ。歴史的な定説ではイギリスは官軍、フランスは江戸幕府を支援していたとされている。
でもこの本を読んで感じたのは、それらの歴史観は明治以降の出来事を知っているから出てきたものだろう。当時の外国人としては戦争の結果はわからない。最終的に日本を統治する勢力と条約の継続を結ぶことになる。だから戦争の勝敗が決まるまではヤキモキしたことだろうと想像する。
この著作が当時を反映したものだと感じたもう一つの理由が坂本龍馬の扱い。龍馬が偉人として持てもてはやされたのはもっと後の時代。だからこの本でも本の少ししか龍馬に触れていない。「土佐の才谷梅太郎(龍馬の変名)という人物が京都で殺されたそう」という記述だけ。これだけでもこの本におけるリアリティの高さを感じる内容だった。
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