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高羽そらさんインタビュー

殺人と過失の境界線

天気予報どおり、昨日に比べてぐっと冷え込みました。自宅で仕事をしながら青空の広がる景色を見ていても、雰囲気で外の気温が低いのをなんとなく感じます。でも昨日は冬らしくない、こんな花と出会いました。

 

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桜の花です。でもうっかり咲いてしまった桜ではありません。一般的に『冬桜』と呼ばれているもので、個別の名称としては『十月桜』とか『四季桜』と呼ばれる品種があるようです。この桜の具体的な品種名は分かりませんが、この時期にいつも花を見せてくれます。ちょっぴり春を感じて、ウキウキした気分になりました。

 

さて、昨晩に読了した本です。

 

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『サブマリン』伊坂幸太郎 著という本です。

 

今年の3月に出版された小説なので、単行本としてはおそらく伊坂さんの最新作になると思います。いつもながらの軽快な会話文は健在で、何度もクスッと笑ってしまいます。ところが書かれている内容は、文体に比べてシリアスなものでした。

 

主人公は家庭裁判所の調査官である武藤。そしてその上司である陣内が重要なキャラとして登場します。少年犯罪がテーマになっているので、家裁の職員が登場するわけです。少年法に保護されている世代の事件を扱うので、目的は刑罰を与えることではなく更生です。

 

この小説では交通事故が取り上げられています。棚岡という少年は無免許運転で事故を起こします。そして通行人の男性を死なせてしまいます。二人の調査官はその少年を調査することになりますが、物語の展開に従って驚くような事実が浮かび上がってきます。

 

棚岡は小学生のころの通学途中、自分の目の前で起きた交通事故で親友を亡くしています。運転していたのは免許を持つ未成年の少年ですが、事故の原因は脇見運転でした。過失による死亡事故ですので、家裁から処分を受けることになります。でも名前が世間に出るわけでもなく、刑務所に入ることもありません。その後は普通の社会人として暮らしているのです。

 

その加害者は若林という人物ですが、実は主人公の武藤の上司である陣内が、事故当時に調査を担当していました。若林は過失とはいえ、小学生の命を奪ってしまったことに心を痛めています。自分なんて生きている価値がないでのは、と思い悩んで生きています。

 

無免許で事故を起こした棚岡という少年の真意は、その若林を殺すことだったのです。友人の命を奪った復讐です。ところが直前で思い切ることができませんでした。でも無免許ですから運転技術は未熟です。突然飛び出した犬を避けようとして、まったく見ず知らずの他人の命を奪ってしまいました。

 

事故だけでいえば過失です。でも元々は若林という人間を殺そうとして無免許運転をしていました。無免許だけでも道路交通法違反ですが、殺人の意図も存在していたことになります。その挙句、見ず知らずの人間の命を奪ってしまったのです。

 

これは殺人なのか? それとも過失なのか? 法律では簡単に割り切れない問いかけが、読者に対してなされています。そのあたりの構成が伊坂さんらしい展開になっていて、とても心に響く作品になっています。

 

さらに棚岡という少年が死なせてしまった男性について、ラストで驚くような事実が明らかになります。これはまだ読んでいない方のためにネタバレしないようにしておきます。オォ、こう来るか〜〜! とわたしが予想しない展開になりました。

 

家庭裁判所の人間を物語の中心に置くことで、少年法が抱える問題を浮き彫りにした作品でした。でも伊坂さんらしく明るく、ちょっぴり笑いながら読むことができます。だから読者は深刻になりません。最後にはホッとして心が温かくなります。けれども読後に様々な思いを抱かせる小説になっていました。オススメですよ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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