言いたい。でも、言えない
まだ空気は冷たいけれど、日差しは春を感じる。科学的に言えば太陽の角度が変わるだけなのに、なぜかワクワクする。春を心待ちにする、動物としての本能が働いているのかもしれないなぁ。
散歩していると、見ごろになった梅の木にいくつも出会う。2月も下旬にさしかかったので、あちらこちらの梅園は賑わうだろうな。ボクの自宅の隣町にあたる神戸市東灘区には、岡本というところに有名な梅園がある。
天気が良くて暖かい日があれば、ふらっと行ってみようかな。桜の咲くころとちがってじっくりお花見はできない気温だけれど、梅の花も可愛いから大好き。視界いっぱいに広がる梅の花を見ていると、幸せになる魔法をかけられたのかと思ってしまう。
そんな魔法使いといえばハリー・ポッター。昨年に出版された、『死の秘宝』から19年後の物語を読んだ。
『ハリー・ポッターと呪いの子』J.K.ローリング、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーン共著という本。
なぜローリングさんだけでなく3人の共著になっているかというと、これは舞台用の脚本を書籍化したものだから。舞台として上演するためにローリングさんが原案を練り、他の2人が協力して脚本として仕上げた内容になっている。
先に結論を書いておくと、ハリー・ポッターのファンなら、ぜひ読むべし! 過去の原作に書かれた宝物のようないくつもの重要なエピソードが、続編であるこの物語に見事に散りばめらている。そして若い世代の活躍によって、それが新しい物語として読む人の心を揺さぶる。
その内容を言いたいし、書きたい。でもまだ読んでいない人が多いと思うので、ネタバレはしない。ボクが逆の立場なら、絶対知りたくないからね。とにかく興奮してハラハラドキドキしながら、感動で何度も涙がこぼれた。
脚本という形式だけれど、舞台用に作られているのでとてもイメージしやすい。これはパラレルワールドの物語。つまりタイムトラベルが絡んでくる。内容についてはこれ以上書けないので、是非とも本を手にしてほしい。
登場人物の概要だけ書いておく。19年後のハリーは、魔法省の魔法法執行部の部長。もちろん妻はジニーで、魔法新聞の編集者をしている。子供は長男のジェームズ、次男のアルバス、そして長女のリリー。
この物語の主人公はアルバスで、『死の秘宝』のラストシーンから物語が始まる。アルバスは映画でも「もし僕がスリザリンだったらどうしよう?」と父親のハリーに話しているシーンがある。
そのときハリーはこう答えている。お前はダンブルドアとスネイプという、グリフィンドールとスリザリンの素晴らしい二人の魔法使いの名前をもらっている。だからどちらの寮に決まっても素敵なことなんだ。そんな意味合いのセリフだった。結果的に、アルバスはスリザリンに組み分けされる。
ロンは『ウィーズリー・ウィザード・ウイーズ悪戯専門店』を経営しながら、専業主夫的な生活をしている。なぜなら妻のハーマイオニーが魔法大臣という要職についているから。ローズという一人娘がいる。
そしてもう一人の主人公が、スコーピウス・マルフォイ。その名前のとおり、あのドラコの一人息子。アルバス・ポッターと同じ年齢で、二人はスリザリンの寮生として親友になる。ハリーとドラコの息子が親友になるという設定に、この物語の核心がある。それについては触れないでおこう。
そして重要な人物として扱われているのが、セドッリク。『炎のゴブレッド』でヴォルデモートに殺された青年だ。なぜ彼が絡むのか? それは先ほど行ったパラレルワールドの物語だから。ということは、なんとボクが敬愛するスネイプも登場する。
アルバスとスコーピウスがあることをやらかしてしまい、とんでもないことが起きる。とにかくめちゃくちゃ面白い続編になっている。懐かしい場面や名前がいくつも出てくる。マクゴナガル先生はホグワーツの校長だし、『嘆きのマートル』まで登場する。
さらにアルバスの祖父母、つまりハリーの両親まで登場しちゃう。ハリー・ポッターファンなら、思わず叫びたくなるような懐かしいエピソードが登場したり、その場面を別の角度から知ることもできる。
映画化の話も進んでいるようだけれど、ハリー役のダニエル・ラドクリフのスケジュールが合わず、難色を示しているらしい。ボクが大好きなスネイプを演じている、アラン・リックマンも亡くなってしまったしね。
映像として観たい気持ちはあるけれど、以前の続編的な映画を期待するのは難しいかもしれない。それよりも想像力をフルに働かせて、記憶にある彼らの姿でこの本を読み進めるほうがいいと思う。
親子の無償の愛と、友情について書かれた物語になっている。ちなみに父親になったドラコは、めちゃカッコいいよ!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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