ラ・フォンテーヌ寓話
いよいよ年度末が近づいたので、仕事は追い上げモードに突入。
今日は朝から眠る前までキーボードを打つことになりそうなので、夕方のブログはちょっぴり短縮ヴァージョン。
ボクは小学生のころから本が好きで、外で遊ぶよりは自宅で読書しているほうが好きだった。だけど小学生なりに社会生活をしていかなければいけないから、友人たちと外で遊ぶ時間も大切にしていた。
必然的に読書をする時間がなくなるけれど、そんなときにさっと気軽に読めるのが寓話。アンデルセンやイソップなんて大好きだった。
ところが最近になって、耳慣れない作者の寓話があることを知ったので、早速読んでみた。
『ラ・フォンテーヌ寓話』ラ・フォンテーヌ著という本。
著者は17世紀のフランスの詩人。名前を知らなかったけれど、「全ての道はローマへ通ず」という格言を残したのはこの人らしい。かなり有名人だった!
この表紙のような可愛いイラストが描かれた絵本になっていて、小一時間もあれば読める本。でもその内容はとても濃くて、めちゃ面白かった。
なかには知っている話もあったので、きっと著者の名前を知らずに読んでいたのだと思う。
例えばこんな話があった。
痩せてガリガリになった狼が、ある日飼い犬に出会う。その犬は食事も満ち足りていて、安心して眠る家もある。狼はそんな生活がうらやましくなり、その秘訣を尋ねてみた。
「胡散臭い輩を追っ払って、家の者に尻尾を振り、ご主人様のご機嫌をとる」これだけで食事と家が保証される、夢のような暮らしだと聞かされた。
狼は自分もそんな生活をしてみようと思い一緒に歩いていると、犬の首のまわりが剥げていることに気がついた。再び尋ねてみた。
「これは、おそらく僕を繋ぐための首輪のせいでしょう」
「繋ぐ?」狼が言った。「というと、好き勝手に走れないのですかい?」
「いつもってわけじゃないが、そんなことどうでもいいではないか」と犬は答えた。
でも狼は言った。「どうでもよかない! それじゃぁ、どんなご馳走も欲しくないね! そんな大きな犠牲をはらうなんてまっぴらごめんだよ!!」と言って狼は一目散に逃げ去った、というお話。
なんでもない寓話だけれど、かなり奥が深いよね。以前はサラリーマン勤務をしていて、今はフリーランスの生活をしているボクには、狼の気持ちがよくわかる。この著者が書いた寓話は、大人が読むほうが心に響くかもしれない。
こんなのもある。ある靴直しの職人が、靴を直しながら毎日楽しく歌を歌っていた。でもその声がうるさいと思った大金持ちが、自分の睡眠時間を買うために、その職人が一生食べていけるだけのお金を渡した。その代わり二度と歌わない、という条件付き。
最初は喜んだ職人は、やがてそんな生活に耐えられなくなる。いつお金を奪われるかと疑心暗鬼になって眠れない。おまけに大好きな歌を歌うこともできない。
そこで金持ちからもらったお金をすべて返してこう言った。
「金はお返ししますから、あっしに歌と眠りを返してください」
これもいい話だよね。人間にとって本当に大切なものは何か、ということを考えさせてくれる。
すぐに読めてしまう本なので、忙しい毎日に爽やかな空気を取り込みたい人には、オススメの作品だよ〜!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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