長い物に絶対巻かれない人
昨日の雨はどこかに行ったけれど、代わりにやってきたのが寒気。もう来なくていいのにねw
冷たい六甲おろしが吹きつけるので、ちょっと窓を開けるだけで部屋のなかは一瞬で冬になってしまう。去年の今ごろは神戸の桜も花びらを開き始めていたけれど、今年はまだまだつぼみが硬い。今年の桜は遅れそうだね。
今日も年度末モードでひたすら仕事。まだ今日のノルマは達成できていないので、就寝前の読書は諦めて残業が決定かな。
そんな切羽詰まった状況なのに、午後から映画を1本観た。久しぶりにいい気分転換ができた。
『わが命つきるとも』(原題:A Man for All Seasons)という1966年のイギリス映画。
アカデミー賞に8部門ノミネートされ、そのうち6部門を受賞している作品。初めて観たけれど、たしかにとても素敵な映画だった。個人的にもイギリスの俳優さんが好きなので、かなりお気に入りの作品になった。
時代は1520年代のイギリス。イングランドの法律家であり思想家でもある、トマス・モアを描いた作品。当時の国王であるヘンリー8世に逆らったことで斬首された実話を映画化したもの。
トマス・モアという名前は学校の世界史で耳にしたことはあるけれど、詳しいことは知らなかった。この映画を観て、その頑固なまでの筋を通した生き方に感銘を受けた。
ヘンリー8世は世継ぎが生まれないことで、妻との離婚を計画していた。ところが当時はカソリックが主流で、離婚は許されない。そこで国王は友人であり、民衆から支持を得ているトマスに、ローマ法王に離婚を認めてもらえるよう画策を依頼する。
ところが敬虔なカソリック信者であるトマスは、これを拒否する。怒り狂った国王は、独自にイングランド国教会という組織を作り、ローマ法王の裁定を必要とない法律を制定する。そして役人や貴族に、それにサインするよう強制した。
ほとんどの人が長い物には巻かれろ、という言葉どおり、本心は別にしてその協定を承認する。ところがトマスだけは、最後の最後までサインをしなかった。そして最終的には処刑されてしまう。
この映画の邦題は、その生き様から来ているのだろう。トマスを演じたポール・スコフィールドという俳優さんの名演技に感動した。その一徹なまでの信条に、言葉にできない清々しさを感じたなぁ。真似できないだけに、憧れてしまう。納得のアカデミー主演男優賞だと思う。
ボクだったら、簡単に長い物には巻かれているだろうなぁ〜www
この映画を観てもうひとつ嬉しかったのは、名優であるジョン・ハートのデビュー作だったということ。惜しくも今年の1月に 77歳で亡くなってしまったけれどね。
ボクとしては『エレファントマン』が代表作として浮かぶけれど、若い世代ならハリーポッターシリーズの、オリヴァンダー役かもしれないね。
この映画ではトマスを裏切って偽証するという、とても重要な役を演じている。最終的にその証言でトマス・モアは反逆罪が適用されることになった。とっても若いジョンだったけれど、晩年の面影を感じられて、俳優としての才能の高さを垣間見れたと思う。
さて映画も観たので、今夜も仕事に集中するとするか!
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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