SOLA TODAY Vol.243
動物が仲間に対して何かを伝えたいと思うとき、もっとも効果的なものは音声だろう。人間も同じで、やがてそれが言葉に進化していった。
そして次にやってくるのが文字。音声を記号化することで、記録として残すことができる。地球上にはさまざまな言語があって、それぞれの文字を持つ。
欧米のようにアルファベットを中心にするものがあれば、中国や日本のように漢字を主体とするものもある。
だがインカ文明には、独自の伝達方法があるらしい。
ボクはまったく知らなかったけれど、「キープ」というものがある。この記事から写真をコピペさせてもらった。
不思議なものだよね。結び目の組み合わせによって数を表していることが、これまでの研究によってわかっている。トウモロコシや豆類の貯蔵量を記録していたようだ。
だけどインカ帝国に侵攻したスペインの記録によると、この「キープ」が歴史や伝記の記録、あるは手紙として使われていた可能性がある、と古い文献に残されているらしい。だけどこれまでは数以外の報告が見られなかった。
ところが今回発見された「キープ」は少し状況がちがう。アンデス山脈のサン・フアン・デ・コラタ村の長老が研究者に提出した「キープ」は、色とりどの複雑な紐が組み合わされていた。村の長老の説明によると、古い時代の村の首長がまとめた戦争の記録、として伝えられてきたらしい。
その「キープ」を受けとった研究者はこう語っている。
「14の色によって、95通りの組み合わせが可能です。95というのは、表記できる音節記号の範囲内に収まっています」
つまり言語として解釈できる可能性がある、ということらしい。これまでの「キープ」とは明らかに持っている情報量がちがう。
村の長老たちの言っていることが事実だとすると、その「キープ」が作られたのは、スペインが侵攻してきた時期と重なるとのこと。それゆえスペインと戦うインカ帝国が、秘密を守るために手紙として使ったのではないかと推測されている。
まだ研究の段階なので答えは出ていない。だけど記事を読んでいると、文字である可能性が高いようだ。コンピュータを使った解析も進められているようで、もしかしたら近いうちに結果が出るかもしれない。
ロマンがあっていいよねぇ。書かれている内容は深刻なものかもしれないけれど、「キープ」が文字を表していたと証明されたらすごい。何かを伝えようとして、この紐を結んだ人がいたということだよね。ちょっとワクワクする。
人間は他人に対して自分の想いを伝えたいとう欲求が強いし、それは必要に迫られたことだと思う。社会生活をしていくうえで、同じ共同体に暮らす人間との情報交換は欠かせない。そのためには必死で方法を考えるだろう。
特に外国からの侵略があった場合、文字だとわかるものが残されていたら、侵略者は拷問をしてでもその意味を知ろうとするだろう。でもこんな紐の結び目ならば、まさか文字だとは思いもしない。そう考えると、インカ帝国の人々が高度な文明を持っていたことが想像できる。
過去の伝達方法が明らかになることで、世界史を変えるような事実がわかるかもしれない。そんなボクの期待も込めて、発見された「キープ」が文字であったらいいなぁと思う。
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