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高羽そらさんインタビュー

事件を引き寄せる男

暑い。今日の神戸は完全に夏。木陰に入るとかろうじて涼しさを感じるけれど、ひなたを歩いていると汗ばむばかり。

 

明日は年に1度の神戸まつり。雨の心配はないとしても、熱中症に気をつけないといけないかもね。まぁボクは、自宅に引きこもってテレビ観戦なので心配なし。

 

毎年神戸まつりの時期になると、我が家の近くで見事なお花畑が見られる。

 

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かなり急な傾斜地で、黄色い花が一面に咲き乱れる。iPhoneのカメラに入る範囲は限られているので、実際はもっと左右に広がっている。この花の香りに引き寄せられて、きっと蜂たちが忙しく働いていることだろう。

 

ミツバチくらいならいいとしても、事件を引き寄せるとなると大変。いつも大変な事件を引き寄せてしまう人物の物語を読んだ。

 

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『希望荘』宮部みゆき 著という本。

 

待ちに待った『杉村三郎シリーズ』の最新刊! やっと読むことができた。

 

『誰か Somebody』、『名もなき毒』、『ペテロの葬列』に続く、単行本としての第4作目。もちろんすべて読破している。

 

ボクはこの杉村三郎が大好き。元々は小さな出版社の編集員だったけれど、ある女性と恋に落ち、結婚することで人生が変わる。妻となった人は大企業の創業者の娘。

 

三郎は出版社を辞めさせられ、義父の会社の広報誌の編集者となる。その広報誌の取材に関わるだけで、彼はどんどん事件を引き寄せてしまう。そしてはからずも探偵のような仕事をせざるを得ず、最終的に彼が事件を解決する。

 

でも妻や娘が人質になったり、バスジャックに巻き込まれたりと大変だった。一見凡庸そうな人柄なのに、事件に関わると深く追い詰めていける。でも第3作ではそんな彼と妻の関係がうまくいかず、離婚するところで終わってしまった。

 

だからその後の三郎がずっと気になっていた。離婚して義父の会社を辞めた三郎は、なんと私立探偵になっていた。今回の作品は、いつもの長編ではなく、4つの中編からなっている。

 

同じように事件を引き寄せているけれど、どうして三郎が探偵になったのか? 彼の元妻と娘との関係は? そうした疑問がきちんと語られている。ボクが大好きな喫茶店のマスターも、レギュラーとして登場している。

 

離婚はしたけれど、元妻とはいい関係が続いている。ひとり娘の桃子とも頻繁に合っている。とりあえず三郎ファンのボクとしては、それだけでも安心した。

 

4つの物語はどれも秀逸。ボクが途中で結末まで読めたのは、最後の作品だけだった。残りの3つは、「えっ?」「あっ、そうか!」「うそ〜〜!」という心の声ばかり出しながら読んでいた。さすが宮部さん、脱帽するしかない。

 

1つめは死んだはずの女性を見たという事実を聞かされ、その真実を突き止める物語。

 

2つめは老人ホームの男性が、死ぬ直前に自分は過去に人を殺したと告白した。その事実を確かめる物語。

 

3つめは離婚した夫婦が、実は夫の過去の犯罪を隠すための偽装離婚だったのでは、という謎に迫る。

 

4つめは311の大震災の前日に、商品の買い付けに東北に行くと言って行方不明になった男性を捜す物語。そこには恐るべき事実が隠されていた。

 

というような内容。まだ昨年に出版されたばかりの本なので、ネタバレはしない。でも絶対に読んで後悔しないはず。過去の作品を知らなくても、十分に楽しむことができる。

 

このシリーズが大好きなのは、登場人物に『心』があるから。事件に関わっていても、三郎が接触するなかに、極悪非道な人物はいない。誰かをかばっていたり、助けるためだったり、愛してるがゆえだったりで、必ずその行動に理由がある。

 

読み終わって、とても心がほっこりする小説。このシリーズは、まだまだ続きそうな予感がする。いや、ぜひ続けてほしい。宮部さん、お願いします!

 

decoration/dcr_emoji_238.gif『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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