自分の夢と仲間の夢
神戸は昼前にざっと雨が降ったけれど、あとは相変わらずの夏空。こんな風に雨が突然降るから、まだ梅雨明け宣言できないのだろうな。
東京方面では午後3時前後にゲリラ豪雨だったよう。Twitterで池袋駅の様子を見たけれど、まるで台風。いつも思うけれど、気候も人も、なんだか極端になっているような気がする。中庸なんていう言葉は、死語になりそうだよね。
昨日の散歩中に撮影したハイビスカス。夏らしくていい。蝉も絶対数が増えてきているので、ますますいい声を聴かせてくれている。そのうちミンミンゼミも鳴き出すんだろうな。大好きな蝉なので、今からワクワクしている。
蝉の合唱もいいけれど、人間が作り出すハーモニーはさらに美しい。特に黒人の人たちの素晴らしい歌唱力によって紡ぎ出されたコーラスは、聴く者の心を感動させずにはおかない。そんな圧倒されるような美しいハーモニーを堪能できる映画を観た。
『ドリーム・ガールズ』という2006年に公開されたアメリカのミュージカル映画。実在する黒人女性歌手グループであるスプリームス(ボクが子供のころはシュープリームスと言ったよね)をモデルにした舞台ミュージカルを、映画化したもの。
実話とはちがうけれど、きっと似たような出来事はあったんだと思う。何度か観ている映画だけれど、久しぶりに観てやっぱり素敵な映画だと思った。とにかくビヨンセのモデルのような美しい姿を見て、出演者の素晴らしい歌を聴いているだけでも価値のある映画。だけどそれだけじゃないから、いいんだよね。
ジェイミー・フォックスが演じるカーティス。彼はモータウンレコードを創設したベリーという人物をモデルにしている。そのカーティスが見出しのが、3人の黒人女性。そのなかの2人の女性が、この物語を牽引して行く。
ひとりはディーナでビヨンセが演じている。ディーナのモデルは、言うまでもなくダイアナ・ロス。
そしてもうひとりはエフィで、この映画でアカデミー助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソンが演じている。モデルとなったのはスプリームスのフローレンス・バラードらしい。他の歌手の要素も彼女の役にはかぶせてあるとのこと。
元々はエフィがリードボーカルで成り立っていたグループだった。彼女の夢はソロで歌うこと。だけどその夢を、仲間の夢のためにあきらめる。カーティスがこのグループを売り出すのに、目をつけたのが美人のディーナだった。
歌唱力は申し分ないけれど、太めで美人じゃないエフィはバックコーラスになるよう命令される。不満はあったけれど、ファミリーの夢を叶えるため我慢する。だけど売れるにしたがって、エフィは自分がカーティスから疎んじられているように思う。
結果的にトラブルメーカーになり、エフィはクビになってしまう。出身地のデトロイトに戻り、カーティスの子供を密かに産んで貧乏暮らしをすることになる。その一方で新メンバーを加えたグループは、全米を席巻する人気者となる。
でも人間というのは変わるもの。カーティスはビジネスに没頭するあまり、初心を忘れてしまう。メンバーたちは名声と引き換えに何か大切なものを失ったように感じ、カーティスの元を離れていく。その何か大切なものを大切に持っていたのは、クビになったエフィだった。
エフィはクラブ歌手として復活して、昔の仲間の協力を得ることで再びレコードデビューする。ところがカーティスはそれを金の力で潰そうとする。その段階になってようやくカーティスの腹黒さに気づいたディーナが、ついに行動を起こす。そしてそのまま怒涛のエンディングへ突入するという物語。
自分の夢を持っていたけれど、挫折してしまったエフィ。でもどん底からはい上がり、やがて自分の夢を実現する。そしてそのことによって、昔の仲間たちも自分たちが見失った夢を思い出す。2人の女性を対照的に描くことで、ショービジネスの世界をあからさまに表現した作品。
ビヨンセの歌が素晴らしいのは当然。だけどエフィを演じたジェニファー・ハドソンの歌唱力には圧倒される。彼女の歌を聴くと、感動で鳥肌が立つよ。
そしてさらに驚くのが、エディ・マーフィーの歌唱力。俳優としても素晴らしいけれど、彼のミュージシャンとしての実力を見せつけられる映画。もしまだ観たことがなかったら、もったいないので彼らの歌声を体験して欲しいと思う。
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