がんばれ、キューバ!
全国的にそうだと思うけれど、神戸は朝から大荒れの天気。大雨や暴風等の警報は出ているし、午後2時半ころには、ボクが住んでいる神戸市灘区に避難準備情報まで出された。
うす暗くなったバルコニーから外の景色が見えている。横殴りの雨と風で、とてもじゃないけれど歩けるような状況じゃない。きっと今ごろに選挙の投票所に行ったら、閑古鳥が鳴いているだろうね。
ボクはこの前の火曜日に期日前投票を済ませているので、まったく問題なし。どんなことでも思い立ったらすぐ動くに限る。命がけで投票に行くようなことは、したくないからね。
この天気では大掃除もできないので、今日は仕事にたっぷり時間を割くことができた。そして映画をじっくりと観る時間も取れた。とても興味深いドキュメント映画を観た。
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』という、1999年に公開されたドイツ、アメリカ、フランス、キューバの合作となるドキュメント映画。
ライ・クーダーという音楽プロデューサーが、キューバ音楽のアルバムを作ろうとした。キューバに行ったとき、まったく無名の素晴らしいミュージシャンたちに出会ったから。
キューバ音楽は古くから知られていて、世界中にファンがいる。だけどキューバ革命の影響で、地元の天才ミュージシャンは外国で知られることがなかった。そこでそうした天才ミュージシャンたちが集められ、この映画のタイトルとなるアルバムを作った。なんとそのアルバムは、世界で400万枚も売れている。
そこでこの映画が撮影されることになったらしい。このアルバムに参加しているミュージシャンが、オランダのアムステルダムとニューヨークのカーネギーホールでライブを開催している。
それらのライブ映像をメインにしつつ、キューバにおいてミュージシャンたちに行ったインタビューが中心となった作品。このアルバムのレコーディング風景も収められている。
映像全体がとても優しい雰囲気で満ちている。この映画の監督を確認して納得した。なんとあの『ベルリン天使の詩』という名作映画を監督した、ヴィム・ヴェンダースだった。なるほどね。
昨年の2月にキューバはアメリカとの国交が復活したことで、観光国として生まれ変わろうと国内は活気に満ちている。別のドキュメントで何度か観たけれど、穴だらけの道路を改修し、ビルを立て直し、国民たちは外国人を迎えるため新しい仕事に意欲を燃やしている。
でもこの映画の時代は、まだ道路はズタズタの悲惨な状況だった。国民性は明るいけれど、国全体が抱えている貧しさが露呈している。革命によりアメリカと断絶したことで、アメリカのクラシックカーが現代でも走っているというキューバ。この映画では、それらの車もどこか生命力を失くしているように映った。
だけど最近のキューバは、そんなクラシックカーでさえ命の輝きを見せている。それは希望に満ちた国民の想いが反映されているからだろう。トランプ大統領はキューバとの国交回復を反故にする、と宣言した。だけど今のところは、なんとか残されている。
行ったことのない国だし、この先も行くことはないと思う。だけどなぜだかキューバという国が好きだ。今日の映画で観た、キューバ音楽は本当に素晴らしかった。あんな素敵な音楽を守ってきたんだから、きっと素敵な人たちが暮らす国だと思う。
がんばれ、キューバ! 1999年のこの映画を観て、現代のキューバにエールを贈りたくなった。
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