自分らしさは、どこにある?
今月の1日に、U2のニューアルバムがリリースされた。なんともう14枚目のスタジオ・アルバムになるのか!
いい雰囲気のアルバムジャケットだよね。ストリーミングで聴くのでジャケットに手で触れることはなくなってきたけれど、デザインは気になるところ。
このアルバムは『SONGS OF EXPERIENCE』というタイトル。さっそく今日の午前と午後の仕事中に聴いてみた。まだ全体の雰囲気だけれど、いいよ、いいよ! これぞU2という独自の雰囲気に満ちた作品に仕上がっている。
同時に挑戦的な姿勢も感じた。新しいロックのあり方を音楽ファンに問いかけてきているような気がする。やはりアーティストというのは、常に挑戦者であるべきなのだろう。守りの姿勢に入ったら終わりだと思う。
それだけ挑戦的なものを受け取りつつも、やはりU2というバンドの個性を強く感じる。それはボノの声だけでなく、メンバー全員でこれまでつちかってきたものを全力で表現しているからだろう。だから聴いただけでU2だとわかる。それって、本当にすごいことだよね。
例えば昨日のブログで紹介した湊かなえさんという作家の作品は、もし著者名が隠されていたとしても、ボクは彼女が著者だとわかる自信がある。それほど湊さんの作家としてのスタイルが完成されているから。
そんな誰にでも『自分』だとわかってもらえる、自分らしさってどこにあるんだろう? ボクはまだ見つけきれていないような気がする。そしてどうすれば見つかるのだろう?
そのヒントとなるような映画を観た。
『トッツィー』という1982年のアメリカ映画。ダスティン・ホフマンが女装したことで話題になった映画で、ボクは劇場やDVDで何度か観ている。昨日BSで放送していたので、久しぶりに録画してじっくり観直してみた。
ダスティン・ホフマンが演じるマイケルは、実力はあるけれど売れない俳優だった。自分の我が強すぎて、監督やプロデューサーに嫌われてしまう。だけどどうしても友人の脚本家が書いた芝居を舞台で上演したい。そこでその資金を得るために、女装してオーディションを受ける。
もちろん誰もが本当の女性だと思っている。オーディションは成功して、昼メロドラマのレギュラーの座を確保する。そして人気はうなぎのぼりとなり、今さら本当は男だと言えない状況に追い込まれるというコメディ作品。
有名な映画なので内容は置いておくが、この映画がユニークなのは、女性を演じることでマイケルが『自分らしさ』を発見したこと。一か八かのヤケクソの行動だったけれど、そのことによって俳優としての『自分』を発見することになる
マイケルはこの経験によって、自分のうちに隠されていた本来の能力に気がつく。俳優としての常識的な行動を続けていたら、決して知ることのできなかったことだろう。
つまり本当の『自分らしさ』とは、普段から思い込んでいる『自分』を破壊することで見つかるのではないだろうか?
この映画を観ていて、そんなことを感じた。だけど『自分』を破壊することは誰もが怖い。それまでの人生観がひっくり返ってしまうかもしれない。マイケルの場合は追い込まれた末に、男性である『自分』を一度捨てなくてはいけなかった。だけどそんな状況でなかったら、絶対にやらなかっただろう。
ボクがまだ『自分らしさ』を見つけていないのは、ボクが思い込んでいる『自分』を破壊していないからかもしれない。古い映画だけれど、今年を振り返るこの時期に観ることができてよかった。このことについて、じっくりと考えてみようと思っている。
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