SOLA TODAY Vol.466
『罪と罰』というドストエフスキーの有名な小説がある。この言葉からイメージするのは、犯罪を犯した人間はそれに見合った罪を受けるべきだというもの。もっとストレートなものでは、「目には目を、歯には歯を」というハンムラビ法典もある。
だけど日本の法律においては、刑務所は罰を与えることではなく、更生させて社会復帰させることが目的になっている。だけどボクたちが刑務所に持っているイメージは、罪に対する罰という感覚がある。もしかしたら受刑者も同じように感じているのかもしれない。
ではもっと若い世代が収容される少年院はどうだろうか? この施設もボクのイメージでは、『罪と罰』的なものとして定着しているところがある。だけど当然ながら、刑務所よりもさらに更生施設としての側面が強く打ち出されている。そんな少年院の様子をレポートをした記事がある。
少年院は刑罰の場所ではない! 少年たちはどういう経緯で少年院に入り、どのように過ごしているのか
知らない世界なので、興味深く読んだ。少年院の入所期間は、11ヶ月という単位がベースになっている。入院時は3級となり、その期間をかけて1級まで進級するという感覚。最後の1級を数ヶ月過ごすことで、社会へ戻る準備が整ったということになる。
そういう意味では罪によって期間が異なる刑務所とはちがうということ。対象となるのが15歳〜19歳の人たちなので、未来を見すえたシステムになっているのだろう。この記事には1日の生活パターンや、取得できる資格等も紹介されている。まるで職業訓練校のような雰囲気を感じる。
なるほどなぁ、と思いつつ読んでいた。たしかにこの記事に書かれているとおりだし、少年院という施設の役割に異存はない。だけどそうした側面だけを打ち出しているこの記事に対して、若干の違和感を持ったのは事実。
それは犯した罪の内容を見ていたときに感じた。記事から抜粋してみよう。
もっとも多いのが窃盗。最近では「オレオレ詐欺」の受け子で捕まる人が増えているらしい。気になるのは強盗や性犯罪、そして薬物に関する罪を犯した人もそこそこ多いこと。
この記事では触れられていないけれど、再犯率はどうなのだろう? 更生施設として、今の少年院は機能しているのだろうか?
少年院にいる人たちの心の闇はかなり深い。それはこの記事でも紹介されている。家庭環境に問題のある少年少女が多く、退院しても同じ状況に置かれる可能性が高い。
さらに薬物犯罪は依存化しやすい。大人でもかなりの確率の高さで刑務所に戻ってくる人が多い。そして性犯罪というのは性癖によってなされるもの。これは矯正や更生というもので改善するのは、相当難しいと思う。ある意味本能的な衝動だから、抑えがたい欲望をコントロールできるのだろうか?
そんなことを心配していても仕方ないのだけれど、ただ社会へ出て仕事を持つことだけでなく、心のケアに対してもっと深く踏み込んで欲しいと感じた記事だった。そういう意味では少年院という施設が持つ役割は大きいし、期待していてる。
それは刑務所も同じだろう。そうでなければ、「目には目を」の世界になってしまう。ボクは死刑制度に反対している。死刑囚が刑務所ではなく拘置所にいるということは、彼らにはやり直しの機会がないということ。ただ死刑の執行を待つだけ。
なぜ死刑制度に反対するのかは、今夜のブログで触れたいと思う。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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