場の空気は、時間を超える
今日は金曜日。毎週この日を迎えると、夕方のテレビ番組を楽しみにしている。
『報道ランナー』という関西のローカルニュース番組で、金曜日にオンエアされるコーナーがある。矢野兵動という漫才コンビの兵動大樹さんが、関西の各地に行き、過去に撮影された写真の撮影場所を見つけて、同じ場所で現代の風景を撮影するという企画。
古いものなら戦前の写真もあるし、昭和50年くらいのものもある。以前京都の八坂通りでは、たまたまインタビューした年配の男性が、その写真に写っている子供だったという偶然もあった。今日はプロ野球中継があって、残念ながらお休みになりそうなので寂しい。
とにかくめちゃ面白い。まったく同じ喫茶店が今でも経営していたり、過去には列車の軌道が敷かれていた道が住宅街の道路になっていたりする。街の様子は変化していくのが当然だから、風景が同じであることのほうが珍しい。
だけどボクはこの番組を見ていると、場が持つ空気というものが存在していて、それは時間を超えても変わらずに残り続けているように感じる。土地柄という言葉があるけれど、それと同じようなものが、どんな場所にも存在するように思う。
その土地が持っている、オーラのようなものがあるんだろう。だから必然的に、その場所が心地いいと感じる人が地域のコミュニティを形成する。それが集まって、地域の人たちの集合意識のようなものが出来上がっていくんだろうね。
そんな『場』に関する、とても面白い本がある。
『場面設定類語辞典』アンジェラ・アッカーマン ベッカ・パグリッシ 共著という本。
この本は読了していない。なんせ600ページほどあって、タイトル通りに辞典構成になっている。おそらく小説や脚本を書く人以外は、手にすることがない本だと思う。
フリーライターの人たちのTwitterで取り上げられていて、どんな内容の本なのかを実際に確認しようと思って図書館で予約した。それでこれは絶対に必要だと確信したので、3000円するけれどAmazonでポチった。
先ほど書いたように、『場』の有する世界観が、詳細にまとめられている。ぼんやりと読んでいるだけで、かなり面白い。豪邸、キャンプ場、博物館、あるいは核シェルターまでも取り上げられている。
それぞれの場面で、『見えるもの』『聴こえるもの』「匂い』『味』『質感とそこから受ける感覚』『物語が展開する状況や出来事』について例示されている。かなりの数なので、一つの場面だけで想像力が刺激される。
執筆したのが外国の人なので、日本の『場』とはちがう部分もあるのはたしか。だけどそこは想像力でカヴァーすれば、日本の場面にも十分使用することができる。小説を書くときはいつも手元に置いておいて、うまく活用していこうと思っている。
場の空気は、その土地が持っているもので人を引き寄せると思う。だけどそれだけでなく、その場で過ごす人によって上書きされていくはず。最終的に居心地のいい場を作っていくのは、そこにいる人しだいなんだと思う。だからこそ、自分が暮らす家は、いつも居心地よくしたいよね。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする