不快を愉快に変える方法
今日の神戸は、最高に気持ちのいい天気。空気は乾燥していて適度に風が吹き、気温もそこそこ高い。1年中こんな気候だったら、気持ちよすぎてアホになってしまうと思うほど快適だった。
プラプラと歩いているだけで、こんな景色を見られる。誰でも気持ちいい、と感じる気候だと思う。
その一方で、ほとんどの人が不快に感じる気候もある。梅雨のジメジメした時期や、夏の強烈な熱波などは、不快に思う人が多数だろう。人間というのは、そうした不快をどうにかしようとする。それがウチワだったり、エアコンの発明につながっている。
でも精神的に感じる不快は、なかなか軌道修正が難しい。映画というのはそういう印象を利用して、映画の雰囲気を創っている。だけどあえて不快な映像を重ねることで、愉快にさせようとしているのを感じる作品を観た。
『トゥルー・ロマンス』という1993年のアメリカ映画。脚本を書いたのがクエンティン・タランティーノなら、どんな映画が想像がつくよね? 絶対に暴力シーンがあるはず。それもかなり不快な……。
たしかに不快な映像のオンパレードだった。思わずニヤけてしまうほど。最初から最後までそんなシーンが続くんだけれど、ボクが映画を観終わったとき、とても愉快な気分だった。不思議なんだけれど、これがタランティーノのマジックだと思う。『パルプ・フィクション』がいい例だよね。
この映画の監督はトニー・スコット。「トップ・ガン』や『スパイ・ゲーム』というシリアスな映画の監督なので、この変な脚本をどう扱うかに苦労しただろうな。ネットで調べると、脚本では主役の二人は死ぬはずだったけれど、監督の意向で生き残ることになったらしい。
この件で二人のあいだは険悪になり、タランティーノは脚本を引き上げると言い出した。だけど主演を演じるクリスチャン・スレイターが頼み込んで、彼が演じるクラレンスは生き延びることになったらしい。この映画に関しては、生き残ったほうが良かったとおもう。
とにかくシンプルなストーリー。クラレンスが、パトリシア・アークエット演じるコールガールのアラバマと出会う。互いに一目惚れした二人は、翌日に結婚する。そして邪魔になるポン引きを殺すことで、偶然マフィアの麻薬を手に入れてしまう。
その麻薬を売りさばこうとしたことで、マフィアにも警察にも追われる二人。ボクの予想どおり、ラストはそれらが入り混じって大騒ぎになる。ちなみにボクが知っているパトリシアは、『ミフィアム霊能者 アリソン・デュボア』というドラマのアリソン役なので、若い彼女を見て美しいのに感動した。
この映画は共演者がすごい。ブラッド。ピット、サミュエル・L・ジャクソン、デニス・ホッパー、クリストファー・ウォーケン、ゲイリー・オールドマンというような、誰が主役をやってもおかしくない俳優がチョイ役で登場する。それがまた楽しくで愉快。
翌年にタランティーノは『パルプフィクション』を撮影しているから、その布石のような豪華メンバーだよね。
評価が分かれる作品だと思う。だけどボクにとっては、かなりツボにハマる映画だった。不快を愉快に変えてしまえるタランティーノのようなクリエイターは、そうそういないと思う。やっぱり彼は天才だわ!
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