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高羽そらさんインタビュー

理想主義者の絶望

今日の昼間に買い物を済ませて歩いていると、JR六甲道駅付近から賑やかなお囃子が聴こえてきた。思わず誘われてその方向に駆け寄ると、こんな風景が待っていた。

 

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『灘のだんじり祭り』が開催されていて、神戸市灘区の各町内からだんじりが集合していた。

 

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もともと、祭りは5月13日の予定だった。ところがあいにくの雨。それで2週間後の今日に延期されていた。

 

いい天気だったので、絶好のお祭り日和だった。大勢の見物客も訪れていたので、あたりの気温は人の熱気で2〜3度は上昇していたと思う。お祭りというのは、なんとなく興奮するものだよね。

 

おそらくそこにあるのが、非日常だからだと思う。普段とちがうことを経験することで、人間は興奮する。その興奮によって、日ごろの辛さや退屈な気分が吹き飛んでしまう。だからお祭りは、全国のどこでも大勢の人を呼ぶんだろう。

 

お祭りではないけれど、歴史的な事件に立ち会うのも、同じような効果があると思う。先日あるテレビ番組で、ベルリンの壁が崩壊するときに旅行で立ち会った夫婦がその興奮を語っていた。たしかにそんな瞬間にその場にいれば、全身の神経が逆立つような経験だと思う。

 

同じく歴史的な事件に立ち会ったある記者の、数奇な人生を描いた映画を観た。

 

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『レッズ』という1981年のアメリカ映画。主演はウォーレン・ベイティ。彼はプロデュースだけでなく、脚本、さらに監督までやっている。映画の主人公は、ジョン・リードという実在の人物。

 

物語の時代は、20世紀の初め。若手の記者であるジョンは、ルイーズという記者志望の人妻と出会う。恋に落ちた二人は、やがて一緒に暮らすようになる。時代は共産主義の嵐が吹き荒れていたところで、ジョンは熱心な共産主義者だった。妻のルイーズを、ダイアン・キートンが演じている。

 

とにかくこのルイーズがくせ者。こんな女性は絶対無理、と思うほどどうしようもない。記者になりたいけれど、文章の訂正を受け入れようとせずにカンシャクを起こす。自尊心ばかり強くて、自分の意思を曲げようとしない。

 

さらに自由恋愛を実践していて、二人とも別の人間と関係を持つことを容認していた。ところが実際はうまくいかないもので、どちらも異常な嫉妬に苦しむことになる。ということで自由恋愛はあきらめて、二人は結婚する。そして目指したのが、革命で揺れているロシアだった。

 

そこで二人は、2017年のロシア革命を目撃する。反戦主義だったジョンは、このロシア革命に大きな影響を受ける。それでアメリカに戻り、その体験を本にする。あっという間にその本はベストセラーとなった。だけどそれをきっかけにして、ジョンの人生は狂い始める。

 

影響力を期待したアメリカの左派は、彼を共産党の幹部として迎える。アメリカで革命を成功させるため。ところが強烈な抵抗に遭う。やがて共産党は分裂することで、ジョンは自分が属する共産党にソ連の公認を得るようとして、パスポートを持たずにソ連へ密航する。

 

ところが公認はもらえないし、ソ連はジョンを離さない。アメリカ人の革命者として、共産主義の拡散に利用することにした。ところがジョンは絶望する。ソ連の共産主義が、とんでもない方向に向かっていることを知るから。恐怖による共産党の専制政治を目の当たりにして、理想主義者のジョンは絶望する。

 

夫と連絡の取れなくなった妻のルイーズは、これまた密航してソ連に入国する。ようやく夫と再会したとき、彼は病で死の床にあった。遠いソ連の地に残されたルイーズが、夫の亡骸の前で泣き伏すシーンで映画が終わる。

 

ボク個人としては、この夫婦は好きじゃない。だけど理想を求めて突き進む姿には、感銘を受けた。この時代のことがよく理解できたし、こんな人物がいたことを初めて知った。その後、ルイーズはどうなったのだろう? ソ連で残りの人生を過ごしたのだろうか。

 

長い映画だけれど、かなりオススメの作品。映画としては素晴らしいと思う。特にルイーズを演じたダイアン・キートンの演技は、めちゃくちゃ見応えがあった。感情的でわがまま、だけど情が深い。よくこんな複雑な人物を、完璧に演じ切ったと思う。いい女優さんだよね。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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