何気ない日常に気づきがある
ようやく梅雨が明けた。手放しで喜べないのは、梅雨末期の雨が最悪だったから。
明らかにされる被害を目にするたび、今回の大雨の恐ろしさを改めて実感している。あのとんでもない雨を実際に体験したら、誰でもそう感じるはず。
ありがたいことに神戸は日常が戻って来た。今日から学校が始まり、つい先ほども学校から帰って来た子供たちの元気な声が聴こえていた。
そう思うと、何気ない日常がどれだけありがたいことかわかる。普通に過ごせることは、本当は奇跡のようなものかもしれない。そんな日常のなかに、人生を大きく変えるような気づきがあるんだと思う。
特別なことではなく、日常生活のなかに気づきがある。そのことを語っている素敵な映画を観た。
『SOMEWHERE』という2010年のアメリカ映画。大好きなソフィア・コッポラが脚本を書いて監督もしている。
この映画に事件は起きない。ある意味、起承転結もない。だから『ドラマ』を期待している人が観れば、退屈極まりない映画かもしれない。
でもこの映画こそ、ソフィア・コッポラの真骨頂だと思う。『ロスト・イン・トランスレーション』でも同じことを感じたけれど、やりきれない孤独を抱えた男性を描かしたら、彼女の右に出る映画監督はいないと思う。
主人公はジョニーという有名な映画スター。そのジョニーをスティーブン・ドーフという俳優さんが演じている。あまりよく知らない人だったけれど、この映画にぴったりだと思った。
ジョニーは離婚していて、11歳になる娘がいる。たまにしか会えないけれど、彼は娘をとても愛している。普段は映画の仕事に追われつつも、自堕落な生活を送っている。何をしても満足を得ることができず、自分が空っぽで何者かわからない、と感じている。
ある日、娘のクレオがジョニーが生活の拠点にしているホテルの部屋へやって来た。母親が書き置きを残して、しばらく消えると家を出てしまったらしい。そこで仕方なく娘を預かることにしたジョニーは、ホテルで二人の生活を始める。
最初はとまどいつつも、娘と一緒の時間を過ごすうち、ジョニーの心に変化が訪れる。クレオを演じているエル・ファニングの演技が本当に素晴らしいので、その微妙な変化がビンビンと伝わってくる。さすが天才姉妹のひとりだよね。
ラスト近くで娘をキャンプに送り出してひとりになったジョニーは、自分の生活を変えようと決心する。住んでいてホテルをチェックアウトして、愛車を走らせる。そしてどこかの田舎道で車を降りると、笑顔で歩き出すというシーンで終わる。
なんてことない映画なんだけれど、ボクはこの映画が大好き。ソフィア・コッポラの少女時代の体験が映画のネタになっているとのこと。超有名な映画監督の娘だったから、この映画のクレオと同じような想いをしたんだろうね。
心がほっこりと暖まる作品だった。美人も大勢出てくるので、それを見ているだけでも楽しいよ。あっ、そうそう、ボクの大好きなミシェル・モナハンがジョニーの共演者役でちょっとだけ出演していた。めちゃ得した気分だったなぁ。
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