タイムループと輪廻転生
梅雨が明けてすっかり夏。家に引きこもっていても暑い。冷房のあるカフェに行けば、仕事が捗るかもしれない。だけど行き帰りに汗まみれになるし、その移動時間も無駄。さらに冷房に身体が慣れてしまうと、エアコンがない自宅で過ごすことができなくなる。
だから暑い日でも、自宅で仕事をするほうが結果として効率的なんだよね。今日も汗をかきかき、新作小説を書いている。
どうもホラーとは相性がいいようで、アイデアがどんどん湧いてくる。そして書いていて楽しい。できる限り不快極まりない小説になればいいな。もっともっと怖くなるように、脳みそを駆使しなければ。
そうなると欠かせないのがお勉強。今日の映画はかなり興奮した。この作品はぜひとも大勢の人に観て欲しいと思った。
『LOOP/ループ -時に囚われた男-』という2016年のハンガリー映画。
ハンガリー映画なんて、もしかすると初めてかもしれない。あまり期待していなかったけれど、とにかくタイトルに惹かれた。タイムループというのは映画の題材として最高に楽しい。基本的に同じ設定になりがちなんだけれど、それでも面白い。
『恋はデジャヴ』、『ラン・ローラ・ラン』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などは、タイムループ映画として優れた作品だと思う。そしてこの映画も、これらの作品に充分に肩を並べることができる。いや、もしかしたら超えているかも。
主人公のアダムは、ヤバい仕事に手を染めているアカンやつ。あるアンプルの密売を手伝っていたけれど、大口の取引を横取りして海外へ逃亡しようとしている。恋人のアンナはそんなアダムと行動をともにしていたが、彼の子を宿したことで足を洗って普通の生活をしようと訴える。
だけどアカンやつのアダムは耳を貸さない。妊娠したアンナを置き去りにしてでも、金儲けをしようとする。アンナは飛行機のチケットを隠してそれを阻止しようとするが、アダムはアンナを探してチケットを取り返そうとする。そのとき、アンナは変なことを言う。
「死んだと思ったのに、生きていたのね」そう言ったアンナは、交通事故に巻き込まれて命を落とす。
そうこの段階でタイムループしている。死んだはずのアダムが生きている。やがてアダムも、自分が意図せずに何度もタイムループしていることに気がつく。そして生きているアンナとも再会する。だけど何度やっても、アンナを死なせてしまう。
ようやくアダムは自分がアカンやつだったことを知る。このタイムループを止めて、足を洗ってアンナと人生をやり直そうとする。どうすれば無限に続くタイムループを止めて、ハッピーエンドを迎えることができるか?
新しい映画なので、ネタバレはここまで、ヒントは『輪廻転生』。人間はなんのために生まれ変わるか? その理由を、タイムループを通じてこの映画は語っている。
通常のタイムループ映画なら、死んだ人を助けて終わる。だけどこの映画はちがう。自分の輪廻の鎖を断ち切ることがテーマになっている。だから理解できない人は、内容にまったくついて行くことができない映画かもしれない。
とにかく伏線が素晴らしい。最初から最後まで、ばら撒かれた伏線が完璧に拾われて行く。そして映画の冒頭シーンと、エンディングもループしてしまう。もしかしたらまだループは続いているのでは? 観客にそう思わせて映画は終わる。
本当に素晴らしい作品だった。ハンガリー映画すごいやん! タイムループと輪廻転生に関心がある人は、必見の映画だと思うよ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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