近いけれど遠い人
来た、来た、酷暑だよ。なんとボクの出身地である京都では、7月としては観測史上最高の38.5度だったそう。これはアカン。死んでまうよ。
神戸はそこまで行かなくて、34.5度が今のところ最高気温になりそう。午後4時くらいの気温なので、ここで止まればギリギリ猛暑日を免れたという雰囲気。
といっても暑いものは暑い。朝起きてから今まで数リットルもの汗をかいているような気がする。決してオーバーな数字じゃないと思う。
これほど汗まみれになりながらも、いつものように仕事をしている。どれほど暑くても寒くても、1年を通して仕事を続けることがボクの目標であり、楽しみでもある。だから今日も予定している部分までしっかり書いた。
そして夕食を済ませてシャワーを浴びて少しだけテレビを見たら、寝るまではひたすら読書。ほぼそんな生活を毎日続けている。この暑さでもビールを飲まないのは、じっくりと読書をしたいから。
そこまでやるのは、近づきたい人がいるから。同じ土俵に立つことで、対等な立場で知り合えるようになりたい人がいるから。
そんな人物のひとりである、作家の湊かなえさんのエッセイを読んだ。
『山猫珈琲』湊かなえ 著という本。これはまだ上巻で、下巻もある。タイトルの由来がとても面白い。
湊さんの好きなものが、登山、猫、そしてコーヒーらしい。それでその3つを合わせて『山猫珈琲』というタイトルになったとのこと。
新聞等に掲載されたエッセイを集めたもの。今までは小説でしか著者の人となりを想像するしかなかったけれど、小説がその人を体現しているわけじゃない。あくまでも小説は架空の世界だから。
それだけに、湊さんの私生活が垣間見えてとても楽しかった。出身は広島県の因島で、学生時代は西宮におられた。そして淡路島の方と2000年に結婚されて、今でも淡路島に在住されている。
小説家としてデビューされたのが2007年の『告白』という名作。2004年から投稿を始められて、2007年に新人賞を受賞された。ということは主婦となってからのデビューだということ。ボクはそんなことも知らなかった。
面白いエピソードや作品に対する想いを知ることができて、本当に読んでよかったと思う。めちゃ刺激を受けて、やる気に満たされた。
めちゃウケたのが新人賞を受賞されたときのエピソード。最終選考に残って、当選した場合だけ電話があるとのことだった。それで絶対に直接電話に出ると決めて、ずっと自宅の電話機の前で待機されていた。ボクも昨年に最終選考に残った経験があるので、その気持ちがよくわかる。
ところが夕方になって、近所の子供が家に駆け込んできた。湊さんの自宅に面する水路に近所の子供が自転車で落ちたそう。それであわててその子供を助けにいった。なんとか無事に終わってほっとして家に戻ると、すでに留守電が入っていたw
パソコンの話は気の毒だったなぁ。作家としてデビューしてから使っていたパソコンのバッテリーが劣化してダメになった。それで電源コードを差して使っていた。締切が迫っていて必死で書いて、ようやく一息ついて立ち上がったとき、電源コードに足を引っ掛けてデータがすべて消えた。
それまでの2時間の苦労が水の泡になって、泣きながら新しいパソコンの購入を決められたそう。それは辛い。ボクもMacBookのキーボードが去年の夏から使えなくなって、外付けキーボードで原稿を書いている。なんせ使う量が半端ないから、どうしても故障とは縁が切れない。
湊さんは日本を代表するベストセラー作家なんだけれど、同じ兵庫県人だと思うと身近に感じる。淡路島なんて、神戸市内から車に乗って明石海峡大橋を渡ればすぐだからね。
でも物理的な場所は近いけれど、まだまだ遠い人。今のボクには明石海峡も見えてこない。
だけどいつか実力で大橋を越えられるよう、暑さに負けずに作品を書いていくしかない。図書館から早く下巻が届かないかな。この続きを読みたくて仕方ない。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
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