噓から出たまこと
今日もいっぱい嘘をついた。毎日欠かさず、大嘘をついている。
物語を書くということは、嘘を紡いでいくことでもある。ドキュメントじゃないんだから、ありのままの事実を書くことはない。フィクションの出来事を通じて、著者にとっての真実を織り込むのが小説だと解釈している。
たとえフィクションであっても、ボクの頭のなかでは現実と同じように存在している。そんなフィクション世界のイメージは、昨日の現実世界での記憶となんら変わることなく、ボクの脳の海馬に収納されている。
だから物語が現実になったら面白いと思い、過去の小説でそんなシーンを入れたことがある。『いつか生まれた日に』という小説では、主人公が書いた小説によって、未来の現実を変えるという場面を使っている。
いわゆる『嘘から出たまこと』ということだけれど、まさにそのとおりの映画がある。
『ギャラクシー・クエスト』という1999年のアメリカ映画。
B級映画だと思って期待せずに観たけれど、配役を知って驚いた。なんとシガニー・ウィーバーやアラン・リックマンという俳優が出ている。そこで一気に期待が高まった。
そのボクの期待どおり、めちゃくちゃ面白い映画だった。コメディなんだけれど、本当によくできている。あまり知られていない作品だと思うけれど、これは隠れた名作だと断言できる。
『スター・トレック』をオマージュしたパロディ映画なので、ボクのようにエンタープライズ号のファンなら最高に楽しめるよ。
登場人物たちはヒーローではなく、普通の俳優たち。『ギャラクシー・クエスト』という人気ドラマに出演しているが、年数を重ねることで落ち目になっていた。一部のオタクファンによって支えられている番組だった。
出演者たちは嫌々ながらドラマに出演して、ファンイベントでサインをするだけの退屈な日々を過ごしていた。
ところがある日、本物の宇宙人が彼らの前に姿を見せる。宇宙でこのドラマを受信していて、ノンフィクションだと信じている。高い技術力があるけれど、純朴で謙虚な性格なので、他者と戦うことができない。
だけど彼らは悪の勢力から侵略を受けていた。それで本物だと信じる『ギャラクシー・クエスト』のメンバーに助けを求めてきた。登場人物たちは単なる俳優だったのに、本当に宇宙へ出て『スター・トレック』の乗組員のように戦うハメになってしまう。
この映画の面白さは、観ないとわからないと思う。伏線が完璧に貼られていて、構成のうまさに感心した。そして笑いのツボも心得ているので、腹を抱えて笑い転げてしまう。
『噓から出たまこと』をコメディSFに仕上げた、とても素晴らしい作品だった。めちゃオススメの映画だよ!
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