この世は生きるに値するよね!
今日はとっても親しい人の誕生日だったので、朝から人生について考えている。まったくちがう場所で生まれたその人と、いつしか互いの人生が交わるようになった。それって本当に奇跡のように美しい出来事だと思う。
もちろん人生って楽しいことばかりじゃない。能天気に生きているようなボクでも、ブログに書けないような苦悩を抱えてきた。生まれた国や政治状況によっては、生きることさえままならない人生もあると思う。
だけど与えられた環境で精一杯生きるしかない。そして生きていれば、あぁよかったと思えることは必ずある。ボクはそう信じている。この世は生きるに値する世界だと確信している。
今日観た映画は、この世が生きるに値することを、ひたむきに伝えてくる作品だった。いまもこの映画の感動が、心のなかでおき火のように静かな熱を放っている。
『愛と哀しみのボレロ』(原題:Les Uns et les Autres)という1981年のフランス映画。タイトルは知っていたけれど、観たのは初めて。エンディングで泣きすぎたせいで、花粉症のように目がボロボロになってしまった。
これは群像劇の映画。フランス、ロシア、アメリカ、そしてドイツという4つの家族の物語。1930年代から1980年代においてこの家族に起きたことが時系列になっている。4つの家族に共通しているのは、音楽やダンスという芸術に関わっている人たちということ。
人を感動させ楽しませ、そして癒すための音楽やダンス。そんな芸術を志した才能ある若者が出会い、恋をして家庭を持つ。だけど物語の前半は第二次世界大戦という悲劇が待ち構えていた。
戦死はもちろん、アウシュビッツのガス室まで登場する。この映画の前半はマジでつらい。芸術を愛している若者が銃を持ち、爆撃から身を隠し、いつ戻るかわからない夫を待ち続ける。ナチスの収容所に運ばれる途中で、こっそりと線路に置き去りにされた赤ちゃんもいる。
戦後、そして1980年代へと時代は進み、4つの家族に様々な出来事が起きる。もちろん両親から子供、そして孫の時代へと至っている。そうしたなんのつながりもない家族が、エンディングでパリに集結することになる。それがこの写真の舞台。
赤十字とユニセフのチャリティイベントによって、この4つの家族の人生が初めて交わる。線路に置き去りにされた子供は中年になり、その息子がこの舞台で歌を歌っている。同じく歌っているのは、アメリカから戦争中にイギリスへ派遣された男性の娘。
演奏の指揮をしているのはドイツ人の天才音楽家。ヒトラーに賞賛を受けたという理由だけで、戦後は欧米で不当な扱いを受けていた。そして踊っている男性は、戦争により夫を奪われたロシアのバレリーナの息子。
もちろん息子を置き去りにせざるを得なかった年老いた母も、息子と一緒に孫の晴れ舞台を見ている。ソ連から亡命した息子のダンスを、母親が見つめている。とにかく涙が止まらなくて、本当に大変だった。
これは何度も観たくなる映画。同じ俳優さんが自分の子供役を演じたりするので、人間関係を理解するのに1度目は混乱すると思う。だけど回数を重ねるごとに関係がより深く理解でき、感動が増していく作品だろう。また機会があれば観たいと思った。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする