他者を利することの本質を見た
ネコ好きな人にオススメのミュージックビデオがある。とにかく元気が出るよ!
カーリー・レイ・ジェプセンの新曲で、『Now That I Found You』というタイトル。2月28日にリリースされたばかりの曲で、ビデオはつい先日に公開された。
彼女の曲は大好きなのでビデオを見たんだけれど、カーリーよりも注目してしまう存在がネコ。そのネコの可愛いこと。胸キュンになってしまうだけでなく、増殖してネコまみれになってしまう。彼女らしいキュートなビデオだよなぁ。
さて雰囲気はガラリと変わって、シリアスだけれど、とても感動する映画を観た。
『ブリッジ・オブ・スパイ』という2015年のアメリカ映画。スティーブン・スピルバーグ監督で、主演はトム・ハンクス。ドノヴァンという実在の弁護士を描いた作品で、事実を元にして構成されている。予備知識なしで観たけれど、時間を忘れるほど没頭してしまった。
1957年のアメリカとソ連が冷戦中のころ、イギリス国籍のソ連スパイがアメリカで逮捕された。アベルという名で、彼に形だけの弁護士がつけられる。指名された弁護士がドノヴァンだった。
死刑が決定的な裁判なので、弁護をすること自体リクスが高い。ソ連のスパイを弁護することで、ドノヴァンや家族に危険が及ぶ可能性がある。事実映画の前半で、彼の自宅に銃弾が撃ち込まれる事件があった。そのリスクを承知のうえで、ドノヴァンは弁護人となる。
最終的には有罪にはなったが、ドノヴァンの必死の交渉でアベルが死刑になるのを防いだ。その決め手となったのが、もしアメリカ人スパイがソ連で捕虜になったとき、交換要員として使えるという理屈だった。交渉相手を利することで、アベルの命を守ろうとした。二人には強い友情が生まれる。
そして予想していたことが起きる。アメリカの若い軍人が、スパイ容疑でソ連政府に拘束される。そこでアベルとの交換を打診された。言い出しっぺは東ドイツの弁護士だった。アメリカが認めていない東ドイツを、国家として容認させるチャンスだったから。
ところが間の悪いことに、その時代はベルリンの壁が作られているときだった。アメリカ人大学生が、ドイツ人の恋人を西側に救い出そうとして東ドイツに拘束されてしまう。東ドイツとしてはその青年を交換要員にしたい。でもソ連はアメリカ兵を交換として要求している。
そこでドノヴァンが交渉人として東ドイツに派遣される。詳細は省くけれど、なんと彼は2対1の交換に成功する。このあたりの苦労とハラハラドキドキは映画を観て欲しいと思う。本当に素晴らしい内容だった。
ドノヴァンの基本的な交渉術は、相手を利するということ。どうすれば相手の利益になるかを考え、ギリギリの提案をしていく。つまり他人を利することは、自分を利することになる。その本質が描かれた作品だと思う。
彼はその後、1962年にケネディ大統領から依頼を受け。キューバのカストロ議長と交渉して1113人のアメリカ人捕虜の解放に成功している。その詳細は映画では語られていないけれど、おそらく同じ手法を使ったんだと思う。
こんなすごい人がいたなんて、まったく知らなかった。残念なのは53歳という若さで亡くなっていること。何度も観たくなるような、とても素晴らしい映画だった。
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