日本人と未遭遇のアメリカ
ここ数日、歯が痛くて困っている。痛み止めなしでは仕事も眠ることもできない。といっても虫歯じゃない。
疲れがたまってくると免疫が落ちるようで、神経が炎症を起こしやすくなるらしい。過去の経験上、素人判断ながらそう思っている。だから歯だけでなく頭や耳まで痛くなる。それも右半分か左半分だけ。今回は左サイドをやられていて、なかでも歯の神経がギリギリと痛みを訴えてくる。
虫歯じゃないので食事は問題ない。左側で噛んでも痛みはない。歯の奥の神経部分がひたすら痛みの信号を送ってくるだけ。ボクが通っている歯医者さんは優秀なので、もし診察を受ければ的確な診断と治療をしてもらえるだろう。
普通なら予約して行くんだけれど、実は来週の月曜日がちょうど定期検診の予約日になっている。だからあと1週間なので痛み止めの薬でなんとかごまかしている。痛みにも慣れてきたし、おそらく定期検診を受けるときにはおさまっているだろうけれどね。とにかくいまは地味に辛い。
こんな痛みを感じながら本を読んでいると、その内容にも影響してくる。ある小説を読んでいて、ボクはその内容が『痛み』を表現していると強く感じた。
『新編 風と共に去りぬ レッド・バトラー②』ドナルド・マッケイグ著という小説。全部で第6巻まである小説の第2巻を読了した。第1巻の感想については、『視点を変えると世界は激変する』という記事に書いている。
有名な作品である『風と共に去りぬ』のスピンオフ小説。主人公はスカーレット・オハラではなく、夫のレット・バトラーになっている。映画のタイトルに関しては誰もが聞いたことがあると思うけれど、『風と共に去ったもの』が何か知っているだろうか?
それはアメリカ南部の文化と精神のこと。この物語は南北戦争が大きく影響している。戦争によってこてんぱんにやられた南部は、大勢の若者だけでなくその文化や精神までも失っている。アメリカという国家にとって、それは心の奥に抱えた『痛み』じゃないだろうか?
江戸時代に黒船でやってきたアメリカは北部のヤンキーであり、太平洋戦争で日本を占領下においたのは同じくヤンキー世界が再構築したアメリカ。だからボクたち日本人は、この時代の南部のアメリカとは接したことがない。
この小説はそのあたりがかなり詳細に書かれているので、どのようにして南北戦争が起こり、アメリカ南部がどのようにして『風と共に去りぬ』ということになったのかを感じることができる。
当初から戦争に反対していたレットは、戦火が激しくなるなかでも商売で稼いでいる。それはある意味、彼にとっての反戦行動のようにも思える。ところが第2巻になると、南部の一般人にとっても南北戦争が無視できない状況になってきた。
映画では登場しないけれど、レットには愛する妹がいる。ローズマリーという名前で、レットの親友に嫁いでいる。どことなくスカーレットに似た女性で、レットの女性に対する好みがわかる。ローズマリーは夫のジョンとうまくいってなかったけれど、戦争を経験してようやく以前の二人に戻ろうとしていた。
ところが戦火が激しくなり、街も北軍の攻撃を受ける。そしてまだ幼いローズマリの娘であるメグが命を落としてしまう。ここで第2巻が終わっている。妹と姪っ子を愛していたレットの心を思うと、胸が痛くなってくる。
映画ではスカーレットが実家のタラに戻るため、レットに助けを求めるシーンが近づいている。その映画ではニヒルだったレットが、こんな辛い思いを抱えていたなんて。それはスカーレットには見せられない心の『痛み』だったんだろうな。いよいよ物語が動き出した。第3巻が楽しみ。
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