『老いる』ことは素晴らしい
50代のボクが『老い』を語るのはどうかと思う。だけど老化というものは、いきなりやってくるものじゃない。忍者のように少しずつ背後に忍び寄ってきて、気がついたら周囲を取り囲まれている。そのときには手も足も出ない。そんなものだと思う。
もちろん個人差はあるし、老化の進行を遅らせることもできるだろう。だけど『死』と同じで、結果として逃げられない。気持ちは20代のつもりでも、肉体は確実に老いていく。そのギャップに苦しむのが、『老いる』ということだろう。
だけどそれは『老い』の一面であって、つきあい方によっては楽しむこともできると信じている。肉体的には限界を感じることがあっても、精神に限界はない。自分の気持ち次第で、『老いる』ことの素晴らしさを体感できるはず。
若いころは身体を動かせるけれど、その分経験がない。人生経験を重ねることで、若い人たちには見えないものを楽しむことができる。それは年齢を重ねたものの特権だと思う。ただし注意するべきことがある。油断すれば精神も『老いる』ということ。
誰でも自分が正しい道を歩んできたと信じたい。そうでないと後悔ばかりで、やりきれない思いになってしまう。だけどそのことに固執しすぎると、頭が固くなって頑固になる。新しいものを受け入れる柔軟性を失ってしまうこと。それが精神の『老化』だと思う。
だったらどんな老人になったらいいのか。そのヒントになる映画を紹介しよう。
『ラストベガス』という2013年のアメリカ映画。過去に一度観たことを忘れて、DVDを借りてしまった。だけど何度見ても楽しめるコメディ映画なので、とても気持ちいのいい時間を過ごすことができた。
この映画は配役がすごい。少年時代からの親友である4人の男性が、70歳になってラスベガスに集まる。理由はその一人が結婚することで、バチェラー・パーティーを行うため。この4人がすごい。
マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、そしてケヴィン・クラインという豪華キャスト。そしてこの4人に紅一点である、メアリー・スティーンバージェンが加わる。
ストーリーは割愛するけれど、とにかく笑える。この4人の演技を観ているだけでもお得な映画だと思う。でも観る人によっては、いい年をした老人が若者と同じような馬鹿騒ぎしているだけじゃん、と思うかもしれない。
でもそれは『老い』を感じたことがない人だろうな。70歳になって若者と同じように馬鹿騒ぎできるなんて、とても素晴らしいことだと思う。体力や気力や持病を考えたら、それなりに努力が必要になる。この映画の登場人物たちも、そうした苦悩をいくつも抱えている。
人生の経験を積んできたからこそ、できる馬鹿騒ぎというものがある。見た目は同じでも、それは若者がやっていることとまったくちがう。心の奥の闇や健康の不安というリスクを抱えつつ、少年時代の心を取り戻そうとしている。
だからこそこの映画を観ると、『老いる』ことは素晴らしい、と感じることができる。『老い』に不安を感じている人は、この映画を観るといいかもしれないよ。きっとそんな不安を笑い飛ばせると思う。
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