直感が湧き出る瞬間を見た
直感やインスピレーションというのは、誰にでも訪れる瞬間がある。その結果、自分の仕事や人間関係が好転するのを経験する。
ただ直感をうまく利用しようと思っても、そこには2つの大きな壁がある。
『いつ』やってくるかわからない。
『どうすれば』やってくるかわからない。
この2つを解決できれば、人生はもっと生きやすいのだろうけれどね。それがなかなか難しい。
ボクの感覚としては、答えが欲しい内容を強く思い浮かべる。それからそのことを手放してしまう。しつこく考え続けると理性が勝ってしまうので、自分が抱えている固定観念の枠を逸脱できないから。それでは特定の枠組みで仕切られた考え方しかできない。
だから一旦手放すことで、頭で考えることをやめる。そして何か夢中になれることに集中する。そうすると、脈絡なしに答えが湧き出して来ることが多い。
ただ小説を書いていると、いつもそんな調子で直感がやって来るのを待っていられない。締め切りがあるからね。だから小説のインスピレーションが必要なときは、とにかく書き殴る。心のなかのモヤモヤを吐き出す気持ちで、キーボードを叩きまくる。するとそんな刹那に、ふとアイデアが出てくることが多い。
なんとノーベル文学賞を受賞している作家も、同じようなことをやっていた。
『物語の作り方 ガルシア=マルケスのシナリオ教室』G.ガルシア=マルケス著という本を読んだ。
先日、著者の『予告された殺人の記録』という小説を読んだ。その感想もこのブログで紹介している。あまりに面白かったので、他の著作を検索してみた。すると小説じゃないけれどこの本が見つかったので、読んでみることにした。
著者は脚本家としても有名で、映画の脚本をいくつも書いている。この本は彼が運営していたシナリオ教室でのやりとりを書籍にしたもの。基本的に脚本に関してのノウハウなんだけれど、小説を書くさいのインスピレーションの引き出し方について、めちゃめちゃ勉強になった。
この教室の生徒は、ほとんどプロばかり。若手だけれど映画監督だったり、シナリオライターだったり、あるいは作家だったりする。そして教室の参加者が持ち寄った原案について、それを脚本として完成させるために全員で討論をする。
このやり取りが、とにかく面白い。マルケスの巧妙なリードによって、原案の問題点が指摘されていく。そしてその課題を克服するためのアイデアが飛び交う。何が面白いって、原案がバラバラ事件のように解体されていくからwww
主人公が別の人間に変わったり、男女が入れ替わるなんて普通。殺される人が殺す人になった事例もあった。著者が何度も口にしているけれど、どれだけ『捨てる』ことができるかがポイント。
これは断捨離の発想とよく似ている。まだ使うかもしれない、と思って捨てることができないとどうなるか? 待っているのはゴミ屋敷だよね。
小説や映画の脚本も同じで、捨てられないことでゴミだめのような原稿になってしまう。あることにこだわって変化を容認できないと、そこで物語はストップしてしまう。このあたりのやり取りは、かなり参考になった。
これはボクが頭のモヤモヤを書き殴っているのと同じだと感じた。複数の人間が意見を戦わせることで、その摩擦によって生じた熱が『直感』を引き寄せる。この本を読んでいて、そんな瞬間を何度も知ることができた。
小説の場合は、これを一人でやらなくてはいけない。つまり自分のなかに、いくつもの人格が必要だということ。最低でも書き手の視点と読み手の視点がいる。できれば批評家の視点や編集者の視点も欲しい。そしてそれらの人格をどれだけ機能的に戦わせるかだと思う。
直感やインスピレーションの引き寄せ方として、こういう方法もありだと思う。ボクにとっては最高に面白くて勉強になった本だった。
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