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高羽そらさんインタビュー

毒母がもたらした娘の悲劇

人間の性格は遺伝によって決定されるのか、それとも子供時代の環境によって影響を受けるのか?

 

よく議論されるテーマだけれど、様々な説があって明確な結論は出ていない。しかしひとつだけ確実に言えることがある。

 

たとえば両親が凶悪犯罪者の子供だとしても、その子の育つ環境によって道を踏み外すことを防げる可能性が高くなるということ。逆に言えば、その子供が他人に比べて秀でる才能を持っていても、育つ環境によって無残につぶされてしまう。

 

そのことを痛切に感じさせられる映画を観た。実話に基づくだけに、なんとも言えない気持ちになった。

 

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『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(原題:I, Tonya)という2017年のアメリカ映画。

 

トーニャ・ハーディングというフィギュアスケートの選手を知っているだろうか? 若い人は知らないだろうな。ボクの年代でフィギュアスケートに興味のある人なら、その名前を聞くだけである事件を思い出すはず。

 

それは1994年1月のこと。リレハンメルオリンピックに出場する選手を決める全米選手権で、メダル候補のナンシー・ケリガンという選手が何者かによって会場の控え室で暴力を受けた。膝を殴られ、その試合に出場できなくなった事件。

 

疑われたのは彼女のライバルだったトーニャ・ハーディング。もちろん彼女は実行犯じゃない。当時は夫だったジェフが、妻のオリンピックを出場を有利に進めるためナンシーを脅すことを思いついた。だけど相談した相手が悪かった。

 

手紙で脅すだけのつもりだったのに、その友人は行動に移してしまった。トーニャには直接的な責任はないけれど、脅迫状を出すことは知っていた。リレハンメルオリンピックには出場したけれど、その後の裁判で事件に関わったということでスケート界からの追放を言い渡されている。

 

だけどトーニャは才能のある選手だった。世界でトリプルアクセルを決めた女性選手は、伊藤みどり選手についで二人目。アメリカでは史上初めてトリプルアクセルを飛んだ選手として記録されている。全米選手権での優勝もあるし、アルベールビルオリンピックではメダルに届かないけれど4位になっている。

 

そんなトーニャの人生は破天荒のひとことで語り尽くせないほど悲惨だった。離婚をくり返す母との貧困家庭に育ち、スケートの練習費用もままならない。それでもウエイトレスとして働く母親の収入によってどうにかスケートを続けてきた。

 

ただし、その母親が普通じゃない。まさにモンスターと言っていいほどの毒母。子供ごころに愛されたいというトーニャの思いが伝わるどころか、言葉だけでなく本当の暴力まで受けていた。お前のスケートのために、わたしは嫌な仕事を続けなくてはいけない、と毎日娘に向かってグチる。

 

それはスケートで娘が稼いでくれるかも、という期待ゆえのこと。娘に対する母親の愛情なってこれっぽっちもない。だから愛されることをひたすら求めていたトーニャの性格は少しずつ歪んで崩壊していく。そして彼女も暴力に訴えることを身につけてしまった。

 

ゆえに最初に結婚したジェフという男性も、いわゆるDV男だった。類は友を呼ぶということだろう。よくこんな環境でフィギュアスケートを続けてこられたと思う。だから本当に才能豊かな女性だったんだろうね。

 

とにかくエグいけれど、よくできた映画だった。トーニャ役のマーゴット・ロビーは最高だった。だけどこの映画を牽引したのは母親役を演じたアリソン・ジャネイだと思う。『ヘアスプレー』という映画でも毒母をやっていたから得意分野なのかもね。トーニャの母親役でアカデミー助演女優賞を受賞したのがうなずけるほど迫真の演技だった。

 

この毒母ぶりは、一見の価値があるよ。エンドロールで本当の母親のインタビューが登場するけれど、本当にそっくりだった。事実とは異なることもあるだろうけれど、この事件の真相に迫った映画としては秀逸な作品だったと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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