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高羽そらさんインタビュー

10代への時間旅行を楽しんだ

タイムマシンがなくても、過去へなら時間旅行をすることができると思う。

 

未来世界は未知だから自覚できないけれど、過去というのは記憶だから。だけどなんとなく昔を思い出しても、その瞬間の空気感に触れるのは難しい。それは『いま』の自分が記憶に関与するからだと思う。

 

こうしたかった、こうあるべきだった、というような後悔や反省の想いが邪魔をして、過去をストレートに思い出すことができないように感じる。だけどある方法を使うと、よりリアルに過去の記憶にアクセスできる。

 

それは小説や映画という物語。登場人物に感情移入することで、主人公たちに引きづられて過去の空気に触れることができる。今日観た映画は、ボクを10代の世界へと誘ってくれた。

 

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『イエスタデイ』(原題:Beatles)という2014年のノルウェー映画。タイトルでわかるように、ビートルズの全盛時代に16歳だった少年たちの青春を描いた作品。何気なく観たけれど、とてもよくできた作品だった。

 

ビートルズの大ファンである4人の親友。彼らの夢はビートルズのようにバンドを組むこと。だけどノルウェーのオスロに暮らす4人は決して裕福な家庭に育っていない。だから楽器を買うなんて夢のまた夢。それでもバンドに対する気持ちは熱かった。

 

この4人はそれぞれ自分の役割を自覚している。自分はジョンであり、ポールであり、リンゴとジョージだと意識している。そんな彼らの友情と恋愛を描いた物語。4人それぞれに問題を抱えているのは、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』と似ているかもしれない。

 

ボクはこの映画を観て、完全に中学生のころに戻ってしまった。年代は少しちがう。ボクの世代はビートルズがすでに解散していたから、現役の彼らを知らない。でもこの4人は完全なビートルズ世代だから、その熱狂度は理解できる。

 

この映画を観て思い出したのは、ボクが中学生のときに初めてバンドを組んだときのこと。他校からの転校生がいた。ボクとクラスはちがうし、クラブ活動も別なのに親しくなった。それは洋楽好き、特にビートルズが大好きだという共通点があったから。

 

その友人と自転車で並んで走っているときに彼が言った。

 

「ビートルズの『ラブ・ミー・ドゥー』を歌える?」

 

「うん、歌えるで」とボク。

 

「そしたら俺がハモるから歌ってみて」

 

そして自転車のペダルをこきながらボクは歌った。そして彼がハモってきた。それが自画自賛なんだけれど完璧だった。最高に楽しかった。

 

そのあと彼が言った。「俺とバンドをやらへん?」

 

くわしく聞いてみると、転校前の中学校でバンドを組んでいた。彼はベースギターで、ドラムもリードギタリストもいる。だけどツインギターのバンドを目指していて、かつメインヴォーカルを探していたので、どうやら彼はボクをテストしたらしい。それでビートルズの曲を歌わせたということ。

 

ボクがギターを弾けることも、他の友人を通じて知っていたそう。ということでその子たちとバンドを組むことになった。この映画と同じくちょうど4人。

 

最初はその友人宅で練習をはじめ、やがて太秦映画村の近くのスタジオを借りるようになった。短い期間だったけれど、本当に楽しかったなぁ。

 

この映画を観ていて、その当時のボクがふいに現れた。そのときの感覚がリアルによみがえって、本当にタイムスリップしたような気分だった。素敵な映画だったなぁ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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