スキルアップは実戦に限る
先日の日曜日は父の日だった。海外の俳優やミュージシャンのInstagramでは、彼らの父親が紹介されていて楽しかった。親子だから当然だけれど、どの父親も本当によく似ている。
そんななかでボクが感動したのは、カミラ・カベロのミュージックビデオ。彼女の最新アルバムの最後に収録されているのが『First Man』という曲。これは彼女の父親への思いをつづったもの。こんな歌詞で歌われている。
You were the first man that really loved me(あなたは私を愛してくれた最初の人だった)
今年のグラミー賞の授賞式でも、父親を会場に招待した彼女がこの曲を披露していた。そして今年の父の日に合わせて、この曲のミュージックビデオが公開された。これが本当にいい。彼女の少女時代の映像を中心として、父親との交流が曲に合わせて編集されている。曲も素晴らしいので、リンクしておこう。
そしてまさに『父親』というか『親父』という主人公が活躍する映画を観た。
『ハートブレイク・リッジ 勝利の戦場』(原題:Heartbreak Ridge)という1986年のアメリカ映画。写真のクリント・イーストウッドが主演・監督をしている作品。初めて観たけれど、最後まで画面から目を離せないほど面白い作品だった。
主人公のハイウエイ軍曹は叩き上げの海兵隊員。朝鮮戦争やベトナム戦争で実戦を戦い、名誉勲章を受賞している退役間近の労兵。優秀な兵士だけれど、酒癖が悪く、頑固で自分の意思を貫く。それゆえ若い上官から疎まれ、補給部隊に左遷されていた。
だけど彼の古巣でる第二海兵師団第二偵察大隊第二偵察小隊に復帰する命令が出る。なぜなら最初に敵と遭遇する偵察小隊の兵士がたるんでいて、まったく使い物にならないから。それまで多くの軍曹がこの部隊の指導にあたったが、ことごとく若い兵士たちに追い出されている。
これが自分の最後の仕事だと感じたハイウェイは、古巣に到着して驚く。そこに待っていた部下たちはやる気のない、そして人を見下す若者たちばかりだったから。もし戦争が起きれば、こいつらは全員死んでしまう。本気でそう思ったハイウェイのスパルタ教育が始まる、という物語。
このハイウエイ軍曹と、部下の兵士たちの関係が最高に面白い。最初は抵抗していた兵士たちも、やがてハイウェイの指導法を理解するようになる。それでも実戦経験のない彼らにとって、戦争は過去のものだった。
だけどグレナダで政変が起きる。社会主義者たちがクーデーター起こし、アメリカ住民が取り残された。いわゆる『グレナダ侵攻』がこの映画のクライマックスになってくる。ハイウェイによって鍛えられた兵士たちが、実戦で戦争の恐ろしさを実感する。
これは決して戦争賛美の映画ではない。そこは誤解してはいけないと思う。何かを学ぶため本当に必要なことが、この映画を通じて語られていると思う。どれだけ座学で学んでも実際に使えなければ意味がない。そのことがわかりやすく表現されている。エンタメ作品としても、かなり完成度の高い映画だと思う。
ハイウェイは単なる鬼軍曹ではなく、部下に対する深い愛情を持っている。それは彼らを戦場で死なせたくないから。そして元妻との復縁を望むという、人間らしい部分も見せている。
若い兵士たちにとって、ハイウェイ軍曹は父親と同じだろう。まさに父の日にピッタリの映画だった。
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