強烈な魅力を放つ『三体』世界
ボクの人生を変えるほどの衝撃を放ったのが、『指輪物語』という小説。おそらくその座が将来も変わることはないだろう。
だけどそれに匹敵するほど強烈な魅力、あるいは磁力を放つ作品に出会った。東洋人が書いたSFとして初めてアメリカのヒューゴ賞を受賞した作品で、『指輪物語』と同じく3部作となっていて、なんと世界中で2100万部も売れたという超、超、超ベストセラーとなった小説。
『三体』劉慈欣(りゅうじきん)著という小説。
かなり話題となった作品なので、読んだ人は多いだろうと思う。だけど科学や物理学が苦手な人は、やや読みづらいと感じる作品かもしれない。逆にボクのような物理オタク、それも素粒子オタクなら、読み出したら止まらないことになるはず。
だけど物理が苦手な人でも、ちょっと我慢して読めばこの物語がなぜ2100万部も売れたのかわかると思う。なぜならその内容が詳細で、とてつもなく説得力が高いから。ボクのような素人ではツッコミどころが見つからない。おそらく物理の科学者でもそれほど異論はないと思う。
新しい小説なのでネタバレはしないのでご安心を。概略だけ書いておこう。
簡単に言えば、宇宙人が侵略してくる物語。地球から最も近い恒星であるアルファ・ケンタウルスから、4光年の距離を超えて地球に迫る三体星人。彼らの太陽は3つもあり、物理学において解決が困難であると言われている三体問題に直面している。それゆえ太陽の軌道が読めず、いつ惑星が滅亡するかわからない。だから移住先の惑星を探していた。
ただ物語がそこに至るまで、様々な人間模様が描かれていく。最初は中国の文化大革命時代から始まる。まだ学生だった葉文潔という女性がその時代の主人公。彼女の父は著名な物理学者だけれど、文革によって惨殺されてしまう。葉文潔も不遇な労働環境に追いやられるけれど、彼女の書いた論文によって命を救われる。
彼女が連れて行かれたのは、地球外文明にコンタクトを取ろうとする中国の秘密研究所。そこでの研究によって、彼女はとてつもないことを発見する。太陽が電波の増強機能を持っていることを見つけ。それを利用することで太陽系外惑星に向かって強烈な電波を送れることを発見した。
そのことで彼女は三体星人の存在を知る。そして文革によって人類への信頼を失っていた彼女は、地球の全人類を裏切る返信を送ってしまう。
「地球を侵略して、人類を滅ぼして欲しい」と。
そして物語は現在へと変わる。年老いた葉文潔も登場するけれど、現在の主人公は汪淼という男性の科学者。彼の活躍によって三体星人の実態が読者に明らかにされていく。三体成人がやってくるのは450年後の未来。でもすでに宇宙人との戦いは始まっていた。
三体星人は地球の科学技術の進化を止めることを計画した。そうしないと450年後に地球が進化しているかもしれないから。そこで人間の科学の進歩にブレーキをかけるため、とてつもないものを地球に送り込む。それはたった2個の陽子。
なぜそれが人間の科学進化をストップさせるのかを知ったらマジで驚くよ! 著者はよくこんなことを思いついたなぁ、と感心するばかり。
ネタバレしないように書くとしたらこれが限界かな。とにかくこんな面白い小説にはそうそう出会えないと断言できる。前アメリカ大統領のオバマさんもこの小説にハマっていたそう。その気持ちはよくわかる。
続編は上下巻に分かれている。すでに図書館に予約してあるけれど、殺到しているのでいつ読めることか。書店で買えばいいんだけれど、こうして待っているのもワクワクして楽しいんだよね。とにかく超オススメの小説なので、SF好きの人は絶対に読んだほうがいいよ。
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