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高羽そらさんインタビュー

シリーズに必須のパターン化

小説や映画でシリーズ化される作品に必須なのは、ファンが思わずニンマリしてしまうパターン化を確立することだと思う。もっとも分かりやすいのは日本の時代劇。

 

なかでも『水戸黄門』は完璧なパターンが成立している。水戸光圀は越後の縮緬問屋の隠居ということで素性を隠し、放送時間が残り20分を切ると助さん格さんによって印籠が取り出される。そして驚いた誰もがその場でひれ伏する。一度だけこのパターンを崩したシリーズがあって、当然ながら視聴率が大きく落ちた。

 

パターンというのは、わかっていても面白い。そしてそれが楽しみとなり、無視されたら視聴者は不満を覚える。そのことをよく知っている作者は、これでもかという感じでパターンをくり返す。

 

アメリカのベストセラー小説も同じ。あるシリーズの第2弾を読んだけれど、すでにパターン化が完成していた。

 

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2021年 読書#20

『反撃』上巻 リー・チャイルド著という小説。トム・クルーズの主演で知られている『ジャック・リーチャー』シリーズの第2弾の上巻を読了した。

 

このシリーズは昨年までに25作もリリースされている。邦訳されているのはそのうちの11作だけで、すべてを読むことはできない。それでも映画化作品を2作とも観て、かつ原作の第1弾を読み終えたボクには、このシリーズのパターンをすでに楽しんでいる。

 

『ジャック・リーチャー』のパターンはわかりやすい。

 

まずは普通に旅をしているだけなのに、その街の事件に巻き込まれてしまう。そのうえ大抵は警察に容疑者や犯罪者扱いされる。そのうち事件から逃げられなくなり、陸軍憲兵隊の優秀な捜査官だったジャックの本領発揮となる。さらに重要なパターンとして、美人のマドンナが各回に必ず登場する。

 

この第2弾もそのパターンが踏襲されている。シカゴのある街を歩いていたジャックは、抱えきれない洗濯物を手にしてクリーニング店から出てきた女性を見つける。杖を持っていて足が不自由らしい。それで優しいジャックはその女性が落とした荷物を拾って手助けする。

 

その直後に3人組の暴漢が二人を襲い、銃で脅して拉致してしまう。暴漢たちの目的はホリーという女性。だけどその場にいたジャックまで巻き込まれしまう。そしてどこなのかわからない場所にまで連れ去られてしまう。そのホリーが今回のマドンナ。

 

ホリーはFBIの捜査官。でも彼女が誘拐された理由は、何らかの捜査に関わったことが原因じゃない。ホリーの父親は米国統合参謀本部議長だった。つまりアメリカ軍の最高責任者。拉致した組織はホリーを人質にして、彼女の父親であるジョンスンと交渉しようとしていた。

 

上巻ではモンタナの山深い場所に連れてこられただけ。二人を拉致したのは民兵組織で、アメリカからの独立を望んでいた。ホリーを絶対に出ることのできない施設に監禁している。その建物の壁には大量のダイナマイトが埋め込まれていて、アメリカ陸軍が壁を破壊しようとすれば爆発してしまう。

 

ジャックは民兵組織の司令官であるボーケンから仲介役としての使命を託される。モリーの父親にジャックが交渉することで、独立を認めさせようというもの。ストーリーとして、上巻はそこで終わっている。

 

だけど謎はいくつか残されたまま。まず民兵組織にFBIの潜入捜査官がいる。そして反対にシカゴのFBIには民兵組織のスパイが潜入している。さらにモリーが誘拐されたのは、父親の肩書きだけが理由じゃないらしい。どうやらモリーにもなんらかの事情がありそうな気配。

 

この後の展開は予想がつかない。ただジャックの活躍によって事件は解決する。でもモリーとの関係はうまくいかないのはわかっている。それがこの物語のパターンだから。

 

これは『男はつらいよ』の寅さんと同じ。このパターンが続くから、読者はこのシリーズにハマってしまうのだろう。とりあえず近いうちに下巻を読もうと思う。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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