来世は何になりたい?
輪廻転生という概念をボクは受け入れている。いまさらブログで書くつもりはないけれど、妻との過去世における証拠となるような確証を得ている。
だけどいまのボクは過去生に興味がまったくない。過去で積み残した課題があるとすれば、当然のことながらいまの人生に反映されている。だからわざわざ過去のシチュエーションを思い出す必要などない。いまの人生を精一杯生きればいい。
それと同じく未来生にも興味がない。生まれ変われるとしたら、次はどんな人生がいい? そう尋ねる人はよくいる。だけどいまの人生でさえ必死のパッチなのに、未来生のことまで考える余裕なんてない。未来生にこだわるのは、結果としていまの人生からの逃避を誘発するだけ。
そもそもボクはいまの人生で輪廻を最後にしたい。本気でそう思っている。感覚としてはこの現実世界に観光旅行に来ているという気持ち。積み残した課題を消化しつつ、いまの人生を終えたら魂の故郷へ帰りたいと願っている。きっとそうなるような気がする。知らんけどwww
だから来世は何になりたい? と訊かれても返答に困る。生まれ変わるつもりがないので、答えようがないから。
だけど、彼の答えなら聞きたいと思う人物がいる。それは『しゃばけ』シリーズの主人公である一太郎。彼の『なりたい』の答えに、ボクは感動の涙を流してしまった。
2021年 読書#93
『なりたい』畠中恵 著という小説。『しゃばけ』シリーズの第14弾で、2015年に出版された著作。ようやく最新刊に追いついてきた。現在出版されているのは第20弾までなので、もう少しだよね。
今回も短編集だけれど、当然ながら登場人物やエピソードは前作までの出来事を引き継いでいる。回を追うごとにレギュラー陣もにぎやかになってきた。妖(あやかし)たちの仲間が少しずつ増えている。
ここのところボクのお気に入りは貧乏神の金次。貧乏神のくせに、大好きな一太郎の長崎屋には取り憑かない。それどころか一太郎の部屋に入り浸りで、前回からは長崎屋の裏の長屋で他の妖たちと一緒に暮らしている。
さて今回は病気がちの一太郎が、世話になっている神様たちを部屋に招待した。そこでの歓待に感動した神様たちは、一太郎が生まれ変わったら何になりたいかを尋ねた。その答えによっては、叶えてくれるとのこと。その序章に続き、5つの短編が始まる。
『妖になりたい』
『人になりたい』
『猫になりたい』
『親になりたい』
『りっぱになりたい』
という5つの物語。今回も楽しく笑いつつ、感動で涙するという物語ばかり。レギュラーの妖に混じって、天狗、猫又、河童、そして幽霊まで登場する。内容は割愛するけれど、とにかく一太郎の活躍でトラブルが解決していくという構成。
そして最終章で、一太郎がようやく『何』になりたいかを返答する。その答えにボクはまたまた泣いてしまった。
「私は……いつかまた、妖達と巡り会いたい。それが一番なんです。ですから」
「また、商人になりたいと思います。そして、一所懸命頑張って、こうして皆と集まれる場を、作れたらと思うんです」
一太郎らしい答えだよね。彼にとって妖たちは家族同然。だから『何になりたい』よりも『誰と一緒にいたい』かを選んだ。そのための場を作れるなら、同じ商人でいいと答えた。
もちろん神様たちはそれを叶えてくれる。だけど妖達は生まれ変わった一太郎を見つけなくてはいけない。そのあとの妖達の会話が素敵。何がなんでも一太郎を見つけると、みんなが心をひとつにしている。一太郎がどれほど妖達に愛されているのかわかる。いつもながら優しい気持ちになれる物語だった。
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