成仏するために必要なこと
何度観ても切なくて、とてつもなくもどかしい気持ちになる映画がいくつかある。共通しているのは主人公が死んでしまって幽霊になるという設定。どうしても伝えたいことがあるのに、死んでしまったので思うようにならない。そんな主人公の苦しさに共感してしまう。
いま考えただけでも3つの作品が思い浮かぶ。ひとつはロビン・ウィリアムズが主演した『奇跡の輝き』という作品。妻を残して主人公は死んでしまうけれど、彼は天国に迎え入れられる。ところが夫の死に絶望した妻は自殺してしまい、なんと地獄へと落ちてしまう。
心を閉ざして地獄に落ちた妻を助けようとする内容で、キリスト教の影響は強いけれど日本人が観ても理解できる素晴らしい作品。もう一つは有名な『ゴースト/ニューヨークの幻』というパトリック・スウェイジとデミ・ムーアが主演した作品。
主人公の男性は殺されてしまい、犯人の魔の手は恋人の命までも狙っている。そこで霊能者の力を借りることで、恋人に危険を伝えようとする物語。最初は思うように気持ちが伝えられなのでもどかしい。だけど霊能者による通訳があることで、この映画はまだ切なさに救いがある。
3つ目はもっと、もっと、切ない映画。なぜなら恋人にまったく姿は見せられないし、言葉も届かない。久しぶりに観たけれど、やっぱり胸がかきむしられて号泣してしまった。
2022年 映画#68
『オールウェイズ』(原題: Always)という1989年のアメリカ映画。監督はスティーブン・スピルバーグで、天使役のオードリー・ヘップバーンの遺作となった作品。
リチャード・ドレイファス演じるピートは、山火事を飛行機で消火する空中消火隊員。天才的なパイロットだけれど、無茶をすることが多いので恋人のドリンダは気が気ではない。でもピートはドリンダの願いを聞き入れて、引退して若手の教官となることを決める。だけどその日に大きな火災が起きた。
友人のアルのエンジンに火がついた。ピートはアルをどうにか助けたけれど、彼の飛行機のエンジンが爆発して死んでしまう。気がついたらハップと名乗る天使がいる天国だった。それが写真の場面。
ハップは彼の天才的な飛行能力は、守護霊がついていたからだと説明する。だから今度はあなたが守護霊となって導いてほしい。その相手はテッドという若いパイロット。才能はあるけれど、技術が伴っていない。ピートは彼の守護霊となって空中消火隊員の技術を仕込む。
ところがテッドがドリンダに一目惚れした。ピートを亡くしたドリンダは生きる気力を失くしていたけれど、ピートの親友のアルや、このテッドの存在によって少しずつ前向きになろうとしている。だけどピートにすれば、自分の恋人が他の男に取られてしまう。
このときのピートの苦悩が痛いほど伝わってくる。素晴らしい演技だと思う。テッドとドリンダが熱いキスを交わし、そのままベッドインしそうな雰囲気になってきた。「ヒップ、この苦しみから救ってくれ」とピートは叫ぶ。
そのとき流れてきた音楽が、ピートとドリンダにとって思い出の曲だった。その瞬間、ピートを忘れられないドリンダはテッドを帰してしまう。記憶に残る名シーンだよね。つまりピートが幽霊になったのは、成仏できない理由があった。
それは生きているときに「愛している」とドリンダに直接言わなかったこと。そしてドリンダの心残りは、ピートにきちんとお別れをできなかったこと。このままでは二人は解放されない。ということでラストにその場面が用意されている。
それがどんなシーンか、まだ観たことがない人は自分で体験してほしい。マジで泣くからね。ハンカチ、いやタオルを用意することwww
久しぶりに観たけれど、やっぱり素晴らしい作品。ドリンダを演じたホリー・ハンターは最高にキュート。そして親友を演じたジョン・グッドマンはボクのお気に入りの俳優さんだけれど、この映画の彼がもっとも大好き。
ということでピートとドリンダの思い出の曲をリンクしておこう。有名なオールディーズで、『煙が目にしみる』という美しいバラード曲。映画のシーンも観られるので、観たことがあるひとは泣いちゃうよ〜〜
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