日本が侵略されたらどうする?
平和で安全な日本で暮らしながらも、ウクライナのことが気になってしまう。いつミサイルが飛んでくるか、いつ家族が他国の兵に銃を向けられたり、拉致されて乱暴されるかという不安と恐怖を想像してみるけれど、所詮は安全地帯からの視点に過ぎない。実際にその立場にならないと、彼らの気持ちはわからないだろうと思う。
そのことを自覚しつつ、自分なりに考えてみることがある。もし日本が他国からの侵略を受けたら、ボクはどうするだろうか? と。それは戦争に巻き込まれるということ。だからより深く考えるために、ある本を読んでいる。
2022年 読書#51
『戦争は女の顔をしていない2』作画:小梅けいと 原作:スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ というコミック。原作はすでに読了済みだけれど、より深くこのルポを理解するためにコミックを読んでいる。第1巻についての感想は『ウクライナ女性は戦士』という記事に書いているの参照を。
原作者はウクライナ生まれてベラルーシで暮らしていた。それゆえ戦争を経験した女性のインタビューは、ウクライナやベラルーシの女性が多い。時代はちがうけれど、ウクライナの人たちが戦争に対してどのようなことを考えているかを、少しでも知ることができる。
第二次世界大戦時はソ連だったウクライナとベラルーシ。だから当時の女性はソ連兵としてドイツ軍と戦っている。第1巻の感想にも書いたけれど、女性が兵士として参戦することは日本人に理解できない部分がある。それも徴兵されたのではなく、志願して戦地に向かっている。
この第2巻でもそんな女性たちの体験談が紹介されていた。自分たちで銃の使い方を学び、狙撃兵となるべく志願した女性たちがいた。とにかく前線に行きたいと願っていた。祖国を守るために、男性だけに頼るのではなく自分たちも戦いたいと本気で考えてた。
だけど地元の軍にかけ合っても採用してもらえない。さらにその上官へと気持ちを伝えるけれど、やはり追い返される。そこで彼女たちは、なんとモスクワまで出向いて共産党の幹部に接触した。そして訓練を積んだという証拠を見せて、ようやく前線に送られている。
もちろん生きて帰った人ばかりではなく、多くが戦死している。なのに銃を手にして戦ったそう。同じように看護師として戦地で働きたい女性がいた。友人たちと決意を確認して、戦車隊の衛生兵として志願した。ところがその女性は年齢が若く、背が低いということで許可されなかった。戦車から負傷兵を引っ張り出すには体力が必要だから。
同じクループの女性たちが戦地に向かうのに、自分は置いてけぼりになる。そこで彼女はその荷車に隠れて同行した。そしてモグリだと認知されながらも、戦車隊にいついた。そのうち指揮官たちも諦め、彼女を衛生兵として使うようになった。そのおかげで命を救われた兵士が何人もいる。
彼女のグループで生きて帰ったのはその背の低い女性だけだった。志願して戦地に向かい、まだ若い女性が命を落としている。原作で読んで知っていた事実だけれど、コミックで見るとよりリアルに感じられて切なかった。
まだ第3巻が残っているので結論を出さないけれど、ボクなりに日本が侵略されたらどうするかを考えてみたいと思う。いまの段階では、死を覚悟してでも銃を手にした女性たちの気持ちに共感している。愛する街、愛する人たちを守りたい。その強い想いが彼女たちを戦地に向かわせたんだと思う。悲劇だけれど、言葉にできない熱いものを感じている。
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