これが実話なんて凄すぎる
『事実は小説よりも奇なり』というベタな慣用句がある。小説では絶対に使いたくない言葉だけれど、そうとしか表現できない実話をもとにした映画を観た。もうマジで驚いたし、人も死んでいるけれど、つい笑ってしまう結末だった。どこまでが実話なのからわからないけれど、とにかく奇想天外な物語だった。
2022年 映画#124
『バンク・ジョブ』(原題:The Bank Job)という2008年のイギリス映画。主演はイギリス俳優のなかで最高にかっこいい薄毛のジェイソン・ステイサム。彼ほどハゲが似合う二枚目はいないよなぁ。余談だけれど、ヨーロッパでハゲの男性はめちゃめちゃモテるらしい。彼を見ていたらわかるよね。
そのジェイソン・ステイサムが演じるのはテリーという中古車店の経営者。だけど元はちょっとした悪事に手を染めていた。だけど美しい妻と結婚して可愛い二人の娘が生まれたことで足を洗った。なのに事業はうまくいかず、借金取りのチンピラに嫌がらせを受ける辛い日々だった。
そんなとき、モデルをしていた美人のマルティーヌから仕事を持ちかけられる。彼女はテリーと旧知の関係で、過去の悪行も知っているから。その仕事とは銀行強盗だった。1週間だけ警備システムの変更で警報が鳴らない。その隙に貸金庫の中身を強奪しようという計画。
この強盗には裏があった。この実話が複雑怪奇なのはこの部分。物語の舞台は1971年。公民権運動が盛んなころで、イギリスのマルコムXならぬ、マイケルXという人物が活動していた。こいつがかなりの曲者で、その実態は恐喝して金銭を奪い取ったり、麻薬をイギリスに密輸して稼いでいた。
だけど警察は検挙できない。なぜなら王室のスキャダルとなる証拠写真を持っていたから。マーガレット王女の性行為の写真で、それを切り札としているので有罪にできない。その写真が強盗のターゲットになっている銀行の貸金庫にあった。
マルティーヌはイギリスのMI6に麻薬密輸の容疑をかけられ、それを見逃すという見返りに強盗の話を持ちかけられた。テリーという人物と関係があるのを知っていたから。強盗を政府が誘導したとわかったらまずい。だから誰かにやらせることで写真を回収し、かつ失敗してもその責任をテリーたちに押し付けるつもりだった。
ここからが面白い。強盗の詳細は割愛するけれど、『オーシャンズ11』のような展開で進む。そしていろいろあったけれど、予定どおりに強盗が成功する。でもテリーはマルティーヌの様子がおかしいので何かあると感じていた。その予想通り、彼女はある貸金庫の番号にこだわっていた。
とにかく写真に写っている仲間たちが一生遊んで暮らせるお金が手に入った。ところがそれだけじゃない。マイケルXの写真に加えて、SMクラブを経営する女性が隠した政治家の行為の証拠写真、そしてヴォーゲルという人物が現役の警察官にこれまで渡してきた賄賂の明細まであった。
つまりテリーたちはマイケルXだけでなく、政府高官やヴォーゲルたちからも命を狙われる。そして仲間の一人が殺されてしまった。でもここからがテリーの大活躍を楽しむことができる。それらすべての連中を一箇所に集めることで、まとめて片付けるという大胆な行動に出る。ここが最高に面白い。
テリーの脅しが効いたことで、政府は「D通告・国防機密報道禁止令」を出して強盗の報道を規制。さらにマーガレット王女の写真を返せば、新しいパスポート等を用意するとのこと。警察の幹部も、汚職警官のリストを渡せば強盗の罪を問わないと明言した。
ということでハラハラドキドキの展開ながら、それらがピタッと見事にハマる。ヴォーゲルは逮捕され、マイケルXも政府に拘束された。そしてテリーは自由の身になり、海外で家族と優雅に暮らすというラスト。もちろん奪った金銭を手にしたから。
貸金庫には訳ありのものばかりが収められている。だから被害にあったほとんどの人が被害を申請しなかったらしい。とても痛快な作品で、ジェイソン・ステイサムの魅力を満喫できる映画だった。
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