銀河人類の起源である地球
壮大な宇宙の旅がついに終わろうとしている。最近では『三体』という小説も宇宙全体を巻き込んだ壮大な物語だった。だけどその作品よりずっと以前に同じ規模の物語が創作されている。それがアイザック・アシモフの『ファウンデーション』シリーズ。
他の作家によるスピンオフ作品を含めると、全部で13もの作品がある。少しずつ読み進めてきたけれど、ようやくアシモフが執筆した最後の作品までやってきた。最終作は、これまで物語で名前しか登場しなかった地球を探す旅だった。
2022年 読書#91
『ファウンデーションと地球』上巻 アイザック・アシモフ著という小説。アシモフが残した『ファウンデーション』シリーズにおいて、これが最後の作品となる。ほぼ1年くらいかけて、ようやくここまでやってきた。ボクも実際に宇宙を旅したような気分になっている。
あまりに深くて広い物語に没入しているので、この作品の概要を説明するのは困難になってきた。だからボクの読書記録として書いているので、興味を持った人は『ファウンデーション』で検索してもらえたらと思う。Appleでは一部がドラマ化されているし、原作の解説もすぐに見つかると思う。
さて前作の『ファウンデーションの彼方へ』は衝撃的なラストだった。第一銀河帝国が滅んで500年。本来なら3万年を経過しないと新しい帝国は人類に訪れない。ところがハリ・セルダンという天才数学者が創設した「心理歴史学」によって、それが千年に短縮される見込みができた。
それがファウンデーション構想で、セルダンは2つのファンデーションを創設した。ひとつは実際に人類を統率していく第1ファウンデーション。もうひとつは超能力によって精神面を補佐していく第2ファウンデーション。
だけど前作ではそのどちらにも問題が生じ、両者は全面抗争に突入しそうな気配となった。その関係を強烈な精神波によって干渉していたのがガイアという惑星。この惑星はワンネス意識を体現していて、人間も動植物も、そして鉱物までもが『ひとつ』の意識として存在している。
完全に三つ巴となった状態で、ガイアが選択を委ねたのがトレヴィスという男性。彼には強烈な直感が存在していて、どの世界を選ぶかについてガイアは全面委任した。その結果、トレヴィスが選んだのはガイアだった。これによって銀河の未来はガイアに託されることになった。
ところがこの作品では、その決定に悩んでいるトレヴィスが登場する。それが本当に正しい決断だったのか確信が持てない。そして自分の選択を明確にできるのが、地球を訪ねることだという直感を得ていた。
この物語での地球は、全銀河に存在する人間の起源だと考えられている。つまり人類は地球だけで進化を遂げ、その後に銀河中の惑星に移民していったというもの。人類の起源である地球に行けば、自分の決定を再確認できるとトレヴィスは確信していた。
そこでガイアに了解を得ることで、地球を探す旅に出ることになった。もしその結果トレヴィスの選択が変わっても構わないとのこと。もちろん旅の仲間は前回でも彼に協力したペロラットという学者。さらにペロラットと恋人になったガイア人のプリスも同行することになった。
ただプリスは彼女個人であると同時に、ガイアという惑星そのものでもある。なぜならワンネス意識の存在だから。だからトレヴィスとしては、惑星一つをそのまま宇宙船に乗せているようなもの。このプリスの存在によって、物語が複雑な多様性を帯びてくる。これがマジで面白い。
上巻では様々な出来事があり、3人は危機一髪の経験もしている。そしてどこにあるのかわからない地球のヒントとなる惑星に到着する。そこはロボットが支配する惑星だった。ソラリアという惑星で、アシモフの他の作品でも登場しているそう。
さて、トレヴィスは地球に到達できるのか? そして最後に彼はどのような世界を選択するのか? いよいよ下巻でその謎が明らかになる。楽しみだなぁ。
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