映画の嘘を薄める技術
開業したばかりの西九州新幹線で爆破予告があったらしい。それで午後3時から運休となり、駅から乗客の待避も実施されている。このブログを書いた時点で爆破予告時間は過ぎている。いまのところ爆発があったという報道はないので、悪質なイタズラだったのかな?
ただ警察としては、絶対にこの犯人を捕まえておかないといけない。模倣犯を排除するためにも、絶対に逃げれらないことを世間に知らせるべき。
同じ列車関係の犯罪で、身代金目的で地下鉄が奪われるという映画を観た。
2022年 映画#150
『サブウェイ123 激突』(原題: The Taking of Pelham 123)という2009年のアメリカ映画。過去に観た記憶はあるけれど、内容を覚えていないので再見した。写真のデンゼル・ワシントンが主役で、悪役をジョン・トラボルタが演じている。2回連続でジョン・トラボルタの作品を観ることになった。
1974年に公開された『サブウェイ・パニック』という映画のリメイクとのこと。その古い作品もたしか観たはず。ストーリーは至ってシンプルで、武装した連中が地下鉄の列車を1両だけ切り離し、19人の乗客を人質に取った。
身代金として要求したのは1000万ドルで、ニューヨーク市長が決済できる限度額。この武装集団のリーダーがジョン・トラボルタ演じるライダー。本当の目的はニューヨークをパニックに落とすことで株価を下げ、金の価格を上昇させるため。ライダーは元投資会社の社長だった。
交渉にあたったのがデンゼル・ワシントン演じるガーバー。本来は管理職だけれど、収賄疑惑があることで格下げされて現場に出ていた。それでたまたま地下鉄が奪われたときの運航指令を担当していた。
後半に派手なアクションはあるものの、基本的にはライダーとガーバーの無線でのやり取りがメイン。この二人の共演だから、会話を見ているだけで楽しかった。特にクレイジーなジョン・トラボルタはやっぱり最高。
ある時期干されていたジョン・トラボルタだけれど、『パルプ・フィクション』でクレイジーな役を演じて復活。それ以降はいい役も悪役もこなしてきた。ボクは悪役の彼が大好きで『ソード・フィッシュ』や『フェイスオフ』を何度見たことか。ちょっと変わった役では『閉ざされた森』もおすすめだよ。
最終的に身代金をガーバーが運ぶことになる。これは普通はあり得ない。いくら犯人の指定とはいえ、警察を差し置いて民間人が身代金を渡すなんて考えられない。ところがこの映画はそんな映画の嘘を上手く希釈している。
前半で運転士が殺されている。だから地下鉄を動かす人間としてガーバーが必要。さらに逃亡のシーンでわかるけれど、ルーズベルト駅という廃駅への案内人が必要だった。地下鉄をよく知る職員が犯罪者集団にいたけれど、警察のスナイパーによって殺されていたから。
そうして理由づけに加えて、映画のテンポ感がとてもいい。次々とシーンが展開して、かつ時間が計測される。残り何分という時間の経過に意識が向けられるので、カーバーが民間人だということを忘れてしまう。だからそのあたりのツッコミどころを気にすることなく観られた。
ただガーバーが強過ぎるのは気になった。これは昨日のブログで書いたように、デンゼル・ワシントンを使っていることによる免罪符かな? 強い理由を語らなくても、俳優のイメージだけで押し通したという雰囲気だった。それでもちょっと気分転換に観るには最高の作品だった。
ブログの更新はFacebookページとTwitterで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする