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高羽そらさんインタビュー

視点錯誤の常套手段にやられた

今朝のブログの続きのようなタイトル。小説を読んだり映画を観るとき、視点を意識することは大切だと書いた。それは制作サイドもわかっているから、あえて仕掛けを施すことがある。だからパターンはわかっているつもりだったけれど、ある映画の映像マジックに翻弄されて完全に騙されてしまった。

 

アイキャッチarchive

 

2023年 映画#23

『アーカイヴ』(原題:Archive)という2020年のイギリス映画。この映画に仕掛けられている視点錯誤は、映画界において常套手段的な内容。なのに騙されてしまったのは、違和感を覚えさせない映像構成だったと思う。なかなかよくできた作品だった。

 

この視点錯誤は、1回目しか体験できない。だからもしこの映画を観よう、あるいは1回目の驚きを体験したいと思っている人は、この先を読まないほうがいい。ボクのように「くそっ、やられた!」と憤慨したい人は、是非とも本編を。

 

主人公はジョージという人工知能の開発者。ある企業から新しいタイプのロボット制作を依頼されていて、3年間の期限で日本の山奥にある秘密の研究所で暮らしていた。すでにプロトタイプのロボットを2体完成させている。1代目は人間の5〜6歳の知能しかないロボット。二代目は15歳ほどの知能を有していて、1代目に比べても自由に動ける。ただ見た目はどう見てもロボットだった。

 

ジョージが挑んでいるのは、人間にしか見えないロボット。そしてそのロボットの完成は間もなくだった。ただし普通のロボットじゃない。タイトルにある『アーカイブ』というのはある企業が提供しているサービス。

 

亡くなった人の意識を、一定期間だけ保存するサービス。生きているときのように、貸与された装置を通じて会話できる。急な死を迎えて伝えたいことや、遺産のことを伝言できるようにするため。その期間が過ぎると、永遠の眠りについてしまう。

 

ジョージの妻は交通事故で亡くなっていた。そして『アーカイブ』のシステムを使って、ジョージは妻と会話を続けている。ここでわかるように、ジョージは『アーカイブ』にある妻のデータをハッキングして、彼が作るロボットの脳に移植しようとしていた。

 

結論から言えば、その試み成功する。最初は写真のようなロボットだけれど、やがて本当の人間のような女性型ロボットになる。ただしあちこちに継ぎ目があるので、フランケンシュタインを想起させる気持ち悪さは残る。

 

ところが妻のコピーとなるロボットを作っていると、2代目のロボットが嫉妬をした。そのロボットは3代目を作らないように妨害をしたけれど失敗。悲しんだロボットは、自ら湖に浸かって自殺してしまう。この映画の映像マジックは、ロボットの嫉妬を観客に意識させたこと。

 

だからこの段階で3代目ロボットの完成に気持ちが向いてしまう。やがて2代目のロボットが湖底から発見されたことで、ジョージは契約している企業から訴えられるだけでなく、『アーカイブ』からも規約違反で武装勢力に襲われる。

 

ようやく完成した妻のロボットと共に、彼は追い詰められていく。もう逃げられないとジョージが思ったとき、ついに真実が明らかになる。さて、ここからネタバレだよ〜〜。

 

『アーカイブ』に記憶を残されていたのはジョージだった。事故で死んだのはジョージで、妻とお腹の子供は生きていたというオチ。ジョージは『アーカイブ』の内部で、妻を生き返らせようという妄想の世界を体験していただけだった。くそっ、やられてしまったわwww

 

これは『シックス・センス』と同じ手法。あの映画も、1回目を観た時は視点錯誤にだまされて本気でビックリしてしまった。同じ手なのにまた騙されて、ちょっと悔しかったなぁ。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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