正直者は馬鹿を見る

投稿日：2018.10.29｜カテゴリー：日記

風俗嬢として生きる

気楽だけど気楽じゃなくて、寧ろ苦しい時の方が多い気がする。それは今も昔も変わらずに。

風俗嬢になったばかりの若かった私は、今よりもっと賢い人間では無かったので、嘘や隠し事がとてつもなく下手でした。辻褄合わせが出来ない嘘はついても直ぐにバレるだろし、嘘には嘘を重ねていかなければならなくなる。そして、好き好んで始めた訳ではない仕事を隠すのは自分を偽るようで嫌だった。

そんな阿呆なのか素直なのか律儀なのか純粋だったのか分からない性分が、お仕事に対して真っ直ぐに向き合い、自分に嘘をつかず堂々とやっていこうという私を作った。

｢仕事、なにやっているの？｣

いつ、どこで、誰に聞かれても馬鹿正直に『風俗』と答えて、その度に物珍しい物を見るような視線を浴び、明らかに性的な欲望を宿した視線を浴び、嫌悪感丸出しの異物を見るような視線を浴び、そうした中で一番に厄介な｢私＆俺、そういうの理解あるから｣という同情含みの視線も食らった。

理解なんかしなくていいんだよ。どうせわかりっこないんだし、理解できないなら、嫌悪するなら、性的興奮を覚えるなら、そのままでいいんだよ。分からないものを分からせるって簡単じゃないもの。相手の根底にある考えを変えるってなかなかに骨の折れる作業だしね。

そういう人達とは親しくならなきゃいいだけだもの。

本当に本当に厄介なのは風俗嬢に理解があると簡単に言っちゃう人。この人達はとてつもなく厄介極まりない。私が風俗嬢で同性愛者だと分かると、まるで広大な宇宙のような心の広さアピールなのか、『偏見とか全然ないから』とか『それも仕事じゃん』なんて自分分かっています風に言うのだけど、こういう人達に限って損得勘定と利害を考えている。

向こうから手を繋いできて、抱き締めてきて、キスをしてきて、とっても私を分かっているみたいな言葉ばかりを並べるのだけど、そこまで。知り合い止まりで恋愛対象外、絶対に私を好きにならないの。

お金を貸してと言ってくるのもこのタイプの人達。冗談なのか本気なのか物を強請ってくるのもこのタイプの人達。そして、性的なお遊びを求めてくるのもこのタイプの人達。善人の面の皮を被った偽善者ばかり。

それでも風俗嬢の私のまま好きになってくれて付き合った人もいて、それなりに大切にしてくれて、それなりに愛してくれて、それなりに恋人同士としての日々を過ごせるのだけど、ある日突然発覚した浮気の言い訳は『月緒だってやってるじゃん』。

これまで付き合ってきた、あの子もその子もこの子も同じ言葉を私に殴りつけた。

嗚呼

何も分かっていないんだな

何も伝わっていないんだな

何も見ていないんだな

私がやっている事は貴方達が貪った快楽行為と同じとしか捉えられていないんだな

残念

残念で悲しい

けど、何も伝わっていなくても当然といえば当然なのかもね。