プリン体は身体にとって本当に必要無いものなの?
コレステロールも「悪者!」のイメージが強いですがこれも体内でホルモンを作るのに必要な成分です。だから、これもほどほどに!が一番です!
「プリン体0」の発泡酒に「プリン体と戦う乳酸菌」と銘打ったヨーグルト。私たちの周りには「プリン体=敵」と言わんばかりの広告が溢れています。
プリン体の過剰摂取が高尿酸血症の原因になりうる1)ことは、すでによく知られています。結果としてすっかり嫌われ者となったプリン体ですが、その一方で、生命の誕生や進化に深く関わっていることは、あまり知られていません。
そもそもプリン体とは何なのでしょう?
プリン体。それは、すべての「プリン骨格」を持つ物質の総称です。
「アデニン」、「グアニン」といえば、DNAの構成物質が有名ですが、この2つの塩基は「プリン骨格」を有します。つまり、アデニンもグアニンもプリン体なのです。さらに、アデニンにリボースが結合したものはアデノシンと称されますが、このアデノシンの誘導体はATP(アデノシン三リン酸)やcAMP(サイクリックAMP)です。これらがエネルギー供給源や情報伝達物質として働くことは、よく知られています。
このようにプリン体は、遺伝情報の構築やエネルギー供給の面等で重要な役割を果たしています。そして、この役割は人類のみに限定されたものではありません。
ATPに代表されるこれらプリンヌクレオチドですが、その生合成経路は、大腸菌、酵母からハト、ヒトに至るまで同一で、生命の生化学的一元性(biochemical unity of life)を示す1つの根拠とされています2)。
地球上の生命の起源に、プリン体が深く関わっているわけです。
高尿酸血症や痛風のイメージが強いプリン体ですが、実は、生命の誕生にも関わりの深い重要な物質なのです。今回は、そんなプリン体の知られざる一面をご紹介しました。
参考文献
- 1) Yu TF, et al. Am J Med. 1982;72:95-100.
- 2) D. Voet & J. G. Voet.ヴォート生化学(下). 第2版: 東京化学同人; 1998. p.688.