横井裕之｜よこいひろゆき(フードアナリスト協会創業者)オフィシャルブログ

今日は、尊命敬食について少し書きます。
フードアナリストの方はご存知だと思いますが、
尊命敬食は、（社）日本フードアナリスト協会の基本理念です。
私たちが生きるこの世界は、
１３７億年ほど前に宇宙が誕生した事から始まります。
宇宙が誕生する前は時間も距離もない世界でした。
ですから宇宙のビッグバンとは「生まれた」ということですね。
地球が生まれたのが４５億５０００万年前。
原始的なせ生物が誕生したのは４０億年前。
５億５０００万年前に脊椎動物が出現し、
３億前に昆虫と爬虫類が出現。
２億２５００万年前には哺乳類が出現。
６５５０万年前に霊長類が出現し、北京原人は５０万年前。
ホモサピエンス出現は２０万年前で、
人間が服を着るようになったのは、７万年前の事。
それ以来人口は増え続け、
１万年前に、５００万人
２０００年前には２億人～３億人
西暦１７００年頃には６億人となり
西暦１８００年頃には１０億人を突破。
西暦１９００年頃には１７億人となって
西暦２０１４年の今では７２億人となっています。
つまり人間という生物は
この２００年間で７倍、３００年で１２倍になっているんです。
これは自然界、地球規模でいえば大量発生といえる状況だということです。
３００年で１２倍になった、１万年で１４４０倍になった生き物は
かつて地球上にいませんでした。
（米も麦も人間は品種改良を繰り返し、
自然界になかった大きさの脂質やたんぱく質を持った穀物となりました。
牛肉のＡ５も、ファオグラも人間が作った価値です。）
こうした果てのない宇宙と地球の歴史の中で、
私たち生物は、４０億年前から奇跡のように生命をつないできました。
特に５億５０００年前から脊椎動物になってからは、
誰かの命をいただく事で、自分たちの命を繋げ、命を引き継いできた歴史があります。
鯨やカンガルー、牛、豚、鶏だけでなく植物にも生命があります。
私たちの命は、誰かの命の犠牲の上に成り立っています。
私たちが当たり前のように食べている物は、他の生物からみれば垂涎の的です。
私たち日本人も、ほんの１００年位前までは、天候によっては飢餓で亡くなる方がいる国でした。
アフリカやアジアの最貧国では、国連の食糧支援で食いつないでいる人たちもたくさんいます。
そういう人たちは、古米や古古米、小麦なら数年以上前の小麦でも大喜びで食べます。もちろん農薬や保存料が入っていようが気にしません。
食べて栄養を取ることがまず大切です。
国連によると、世界中で８億７０００万人の人が飢餓に苦しみ、飢餓の人口はここ４年間で（２０１２年国連発表）２０００万人がなんと増えている、というのが世界の現状です。１分間に１７人が飢餓で亡くなっています。
私たちが、豊かな日本に生まれてくることができて、
たまたま素晴らしい祖先、お父様、お母様の元で生まれることができ、
高い教養を身につけ、豊かな暮らしをしています。
豊かな食事、豊かな生活を享受する事は素晴らしい事です。
しかし地球上には、９億人近い飢餓で苦しむ人たちがいることをアタマの片隅に入れておいてください。
命をいただく「有り難さ」を忘れないでいてください。
食の専門家の方は「オーガニック」や「美食」「グルメ」を志向する方も多いですが、保存料たっぷりの食べ物も食べられない方も多い事を忘れないで欲しいと思います。
それはつまり自分以外の誰かが大切にしているものを踏みにじる事はしてはいけない、という事。
沢山の価値観を認め、その中でも自分の価値観を確立し、他人に押し付けない。
私たち協会の理念「尊命敬食」は、そういう精神を表しています。
命を尊び「いただきます」と言い、命の食べ物を常に「敬う」気持ちを忘れない。人類が大切にしてきた考え方です。
ですので、私たちフードアナリストはおいしいものを食べる会を「美食会」とは言わず、「敬食会」と呼んでいます。
私たちもまた遠い将来、バクテリアなどの食べ物になる食物循環の中にある、
という事も頭において、私たちの住むこの宇宙、地球の美しさ、素晴らしさを
あとほんのしばらくの間、数十年の生を一生懸命生きていきましょう。
沢山の命に「いただきます」といいながら。