手抜きローカーボ・ダイエットのススメ
ここ数年におけるローカーボ・ダイエットの普及度には目を見張るものがある。TVや書籍などで紹介されたこともあるだろうし、江部氏などの有名な医師が強力にプッシュし、その主張が糖尿病学会と対立していて注目を浴びたというのも理由の一つだろう。
また「糖化」の害が、特に美容を意識する女性たちに知られるようになった。GI値については「インスリンダイエット」などの名前で少し前に話題となったが、今では糖質そのものを控えようという動きになってきているようだ。
しかし日本人の食生活にとって、本来のローカーボ・ダイエットというのは、いかにもキツいように思える。そこで江部氏などは、一日に100g程度の炭水化物摂取量となる食事を「糖質制限食」として、そちらを推奨しているようだ。本来のローカーボについては、「ケトーシス・ダイエット」として区別しており、「かなり厳しい食事内容です」とブログでも書かれている。
とはいえ、ケトーシスになるほどのローカーボ・ダイエットは、実はそれほど大変ではない。私がメールパーソナルなどで食事内容を指導している人たちからも、「ローカーボにしていると体調が良くなるので、ずっと続けたい」という報告を数多く頂いている。
ケトン体をエネルギーとして使えるようになると、下手にカロリー制限して低血糖になっている状態に比べ、頭も冴えるし、日中に眠くなることもない。空腹も感じにくくなる。もちろん「糖化」の害も少なくなるわけだ。
アンチエイジング界で有名な久保医師によれば、ローカーボだと骨髄の機能が低下して心血管イベントが増えるとのことだが、その説の根拠となっている研究はマウスを被験者にしたもので、ヒトでの実験ではない。マウスは通常、穀物(草の種子)を主食にしているため、ローカーボ食は問題が出てきてアタリマエなのである。
実際にニューイングランドジャーナルのコホート研究(女性看護師8万人を対象)ではローカーボ食は心臓血管系疾患を増加させず、総炭水化物摂取量がリスクの中等度増加に関連。またJAMAでのRCT論文によれば、アトキンス(ローカーボ食)がもっとも体重を減少させ、血中コレステロールと中性脂肪値も改善したとされている。
さてケトーシスになればむしろ体調が良くなるとは言っても、炭水化物をときどき食べたくなるのは日本人の性であろう。しかしそれは「5日間ローカーボ、2日間高炭水化物のBODYOPUS」や、「一日1食だけ炭水化物を適度に食べる糖質制限食」などで対応可能である。
ケトーシスにする場合、一日の炭水化物摂取量を50g以下に抑えたいところなのだが、一日100g以下の糖質制限食でも、長期に継続するとケトーシスに近い状態になるようだ。
その場合、CPF比としては炭水化物のカロリーを全体の12%程度に抑えたい。女性の場合、トータルで2500kcalとすると12%で300kcal。炭水化物として75gである。これくらいだったら、普通に炭水化物を一食食べても、なんとかなる計算だ。
なお男性で一日に3300kcalとすると、99gの炭水化物となる。つまり完全に炭水化物をカットせずに、やや手抜きのカーボカットでも、「長期に続ける限り」十分にローカーボ・ダイエットとしての効果は期待できるのである。
どうもダイエットが上手くいかないという方は、ぜひ試してみてほしい
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