トレーニング中の音楽は?
トレーニング中に音楽を聴く人は多いはず。多くのジムではBGMを流しており、ハードロックを聞きながらトレーニングすることで、普段よりも重い重量が挙がり、後半になっても疲労を感じずにいることができると体感することは、結構あるのではないでしょうか。
しかし奈良教育大学で行われた研究では、男性は音楽を聴くことにより、逆にテストステロンが低下してしまうという結果が出ているのです。
70名の被験者に30分間の音楽(被験者の好きな音楽、グレゴリオ聖歌、モーツァルト、ジャズ、ポピュラー音楽)を聞かせてフリーテストステロンを測定したところ、すべての音楽において数値が下がってしまいました。
特に「自分の好きな音楽」を聴いた群が、一番数値が下がっていました。次に大きく下がったのはポピュラーです。モーツァルトやジャズでは中程度の低下、グレゴリオ聖歌では、それほど下がりませんでした。
ただし、女性は逆にすべての群においてテストステロンが高まっていました。特に「自分の好きな音楽」と「ジャズ」において高まり、グレゴリオ聖歌ではあまり変化がありませんでした。
この結果について、研究者は次のような仮説を立てています。音楽は集団生活を円滑にし、共同作業をスムーズに行うことを助ける。テストステロンは攻撃性を高め、集団から個人を際立たせるホルモン。だから音楽はテストステロンを低下させることによって、社会性を高めるのに役立つのだろう。
女性の場合はテストステロンが高まったからといって、そう大きな違いはありません。攻撃性が高まるというよりは、むしろ「やる気」を出すという作用のほうが大きく働くのかもしれません。
なお男性も女性も、音楽を聴くことによって「コルチゾル」は低下しています。音楽がストレスを軽減する効果は、確実にあるようです。
こう考えると、ジムでBGMを流しているのは、トレーニング効果を高めるのが目的ではなく、メンバーたちがジム内でトラブルを起こすのを防ぐため・・なのかもしれませんね。
Music and Testosterone
A New Hypothesis for the Origin and Function of Music
HAJIME FUKUI
Nara University of Education, Nara, Takabatake, 630-8528, Japan
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