イノベータ理論からみるレジスタンストレーニング Part 2
さて、レジスタンストレーニングは競技アスリートのパフォーマンス向上のためには非常に有効なのに、未だに採り入れようとしない間抜けな集団が存在する。またその競技特性にはHIITが有効なのに、走り込みばかりやっている集団も存在する。
ここで重要なのは、「正しさ」を強調しないことだ。学術論文をいくつも提示して、「ほら、研究で証明されているだろう?」と言っても、かえって反発されるのである。
筆者はそれで何度も失敗していて、正しさを示せというから論文を提示したのに、「学者の言うことなんて信じられない」と、論文も読まずに拒否反応を起こされて暗然たる気持ちになる。だいぶ前からそういう知能の低い人とは距離を置くようにしているのでストレスは溜まらなくなったが、それでもレジスタンストレーニングを広めたいという気持ちは変わらない。
残念ながらトレーニング効果というのは「ストレス応答」であって、ちょっと間違ったトレーニングでもそれなりに効果は出てしまう。もちろん失敗してケガをしたりパフォーマンスが落ち込むこともあるが、それは「これまでこうやってきて成功した」という膨大な経験(間違いを多く含む)によって隠されてしまう。
固定電話しか知らない人に、「携帯電話というものがあって、便利ですよ」と言っても、「固定電話があれば普通に情報は伝えられるし、とても便利だ。これ以上のものがあるのか」と言われてしまうだろう。
実際に携帯電話を見せてその利便性を見せつけても、「そんなのは信じられない。情報が抜き取られるんじゃないか。何か怪しい」と、アーリーマジョリティ以下の人たちは言うであろう。
キャズムを超えるには、マーケティング法を変える必要がある。具体的には「これまでのやり方に近い方法」を提示するのだ。
つまり、間抜けなアーリーマジョリティ以下にレジスタンストレーニングの有効性を示すには、自重トレーニングから勧めることだ。彼らは腕立て、腹筋にはなぜか拒否反応を示さない。そしてリュックを背負った腕立てや懸垂、ジャンプスクワットなどに移行していくのである。
HIITの有効性を示すなら、長距離のランニングを例えば中強度のインターバル走とか、「階段ダッシュ10本!」あたりもいいよ~という感じで勧めるのだ。