PGC-1αは必ずしも?
PGEndothelial PGC-1α Mediates Vascular Dysfunction in Diabetes
Cell Metab. 2014 Feb 4;19(2):246-58. doi: 10.1016/j.cmet.2013.12.014.
PGC-1αと言えばトレーナーだったらピンと来るはず。そう、mTORC1活性化により、骨格筋においてミトコンドリアのバイオジェネシスを促したり、GLUT-4の増加を促したりする転写因子の一つである。一般的にPGC-1αが増えることは「良い」とされ、ビタミンCとビタミンEの摂取によりこれの増加が抑えられたため、抗酸化物質はトレーニングの効果を減じる、なんて言われたこともあった。
しかしある研究ではPGC-1αトランスジェニックマウスにおいては、ミトコンドリアは増えていたものの、GLUT-4の発現はむしろ低下していたという結果も出ていた。
そして今回紹介する研究によれば、
・高血糖により、PGC-1αが血管内皮細胞において発現増加
・しかしPGC-1αはNotchシグナル伝達系を活性化し、血管内皮細胞の遊走を阻害
・それにより血管新生も阻害される。つまり糖尿病における血管傷害と似た感じになる
・逆にPGC-1αが減ると、糖尿病性血管傷害が改善される
とのこと。通常であればRac/Akt/eNOSシグナル伝達経路によって内皮細胞が活性化されるのだが、Notchシグナルにはそれを抑制する作用があるようだ。
血管新生の抑制は、癌治療には役立つ。これをターゲットとした新しい製剤も出てくるかも。