プライオリティ
朝、自宅で仕事をしていると「腹減った」と低い声で唸りながら次男が起きてきた。
キッチンに直行して冷蔵庫の中を物色している。
とりあえず喰えるものは口に放り込んでいるらしい。
まだ満たされないお腹でドカリと座り込むと、
部活の試合で食べる弁当箱を見た。
「足りるかな」とボソリと独り言。
しばらくして家を出ようとする頃、
手にしたお弁当の重さから感じたのか
「足りるかな」ともう一度呟いて俺のほうをチラリと見る。
俺は、コンビニで買うおにぎりのお金を渡した。
彼はニヤリと笑って背中を向ける。
あ、と彼は振り返ると
「今日の会場はどうやっていくんだっけ?」
俺に問いかける。
知るかバカ。
飯の心配よりそっちを先に心配しろ、
って思った。