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ロシア紀行 シベリア鉄道編 その3

日本の友達は口を揃えて今回の旅を称賛してくれたのに。

ロシアの人たちの評価の違いは、価値観なのか国民性なのか。

ロシアの人たちが初対面であまり笑わないのも、

日本人とは違う美学というか国民性というか、そんなものが根本にあるような気がする。

でも、心を許してくれると弾けるような笑顔を見せてくれるのもまたロシア人。

それはもう、本当に心からの笑顔を。


エカテリンブルグを過ぎると、窓の外の空気は更に冷えてちらほらと雪が降り始めた。

何故か、駅にも列車の中にもいろいろなものを売りにくる人もちらほらと増え始める。

それはセーターや魚の燻製であったり、ピロシキやイクラなんかを売っていた。

ちなみにイクラの事を、彼女たちもイクラと呼んでいる。

始めは驚いたけど、それが元々ロシア語だったって事に気がついた。

小さなロシアと日本の共通点だけど、なんだかとても嬉しくなってしまって

アホみたいにイクラを連発する。

オバちゃんも、なんだか分からないけどおかしな外国人だって感じで手を叩いて笑っていた。

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少し雪の積もったホームに降りて買い物をする。

身ぶり手振りで売っているものを見せてくれと頼むと、魚の燻製を差し出した。

香ばしい匂いが食欲をそそるけど、さすがにそのままでは食べられないだろうと思ってピロシキを買う。

一袋3つ入っていて100ルーブル。一個150円位。

きつね色の衣をまとったピロシキの、小麦粉を揚げた甘い匂いが鼻と胸の奥をくすぐる。

そう言えば、子どものころにお袋がピロシキを作ってくれたことを思い出した。

カレー味とか煮詰めたリンゴとか、大好きだったな。

胸焼けするまで食べたっけ。

そんな思い出が、ピロシキを一口食べる度に胸の奥から数十年ぶりに染み出てくる。

「美味しい?」って顔でルーダが俺を覗き込む。

俺が笑顔で答えると、彼女も嬉しそうな顔をした。

中身は、初めて食べる少し酸味の効いた野菜。

長旅で悪くならないように、という理由らしい。

少し不思議な味がしたけど、慣れると美味しかった。

日本に帰ったら、久しぶりに実家に戻ってお袋にこの話しをしてみようかな。

ルーダは揚げた魚を買ってきてくれた。

起用に手を使って小骨を取り分けて食べている。

俺は日本人らしくお箸で食べるけど、段々面倒になってきてルーダと一緒に手を使って食べ始める。

ルーダはニコリと笑った。郷に入っては郷に従えって事なんだな。

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食事が終わってしまうと、コンパートメントにはページをめくる音と布に針を通す音だけが微かにする、とても静かな空間に戻った。

どんどんお互いの作業に没頭していく。

ふと、今日の夕食は食堂車で食べようと思いついた。

何だかそれは、この単調な旅の中でアクセントになるような、

とてつもなく良いアイディアに思えた。

もちろん実行に移すにはルーダの許可がいる。

その事を話すと、まぁたまにはいいでしょう、って感じで笑ってくれた。

いつの間にかそんなルールが出来つつあるってのも可笑しかったけど。

一つ先の食堂車は何だかヨーロッパの古いレストランみたいでとても良い雰囲気だった。

俺は全体が見渡せる端のテーブルを選んで座る。

メニューは全てロシア語で、数少ない写真入りのポークソテーとビールを、

とてもセクシーなウェイトレスのお姉さんに頼んだ。

向かいのテーブルでは三人組の男の人が小さなショットグラスでウォッカを飲んでいる。

一番始めに目の会った、背の低い眼鏡をかけたつのだひろ似のオジサンが、小さなグラスを目の高さにあげてウインクをした。

俺もビールのグラスを掲げて、小さく頭を下げる。

するとミニつのだは、一緒に飲まないかって自分のショットグラスを指差して、クイッと傾ける。

俺は嬉しくなって、良いのか?って感じで目で応えた。

うん、ミニつのだが笑いながら頷く。

明確な記憶があるのはそこまでだった。

後は虚ろな記憶の中で、先ずはロシアに乾杯したこと。

次は日本に、その次は、う~ん。

確か俺が格闘技のイベントでロシアに来ていることを、何とか理解してもらって、

やっぱりこっちでも有名なミルコの祖国、クロアチアに乾杯した気がする。

その後はもうかなり曖昧な記憶で、彼らは何かの技術者で、どっかまで行くって、寝台まで取りに戻った会話帳で話をした、ような気がする。

始めは3人だったけど写真には4人写っていて、後から来た細身の青年も無理矢理合流させて乾杯しまくった、みたい。

後から、セクシーなウェイトレスのお姉さんが笑いながら教えてくれた。

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いずれにしても、ほとんど成り立たない会話であそこまで盛り上がれたのは自信になった。

何の自信だ(笑)

何時、自分の寝台に戻ったのかは覚えていない。

目が覚めると、強烈な二日酔いとルーダの冷ややかな目だけが現実だった。

お願いだ。

笑っておくれよ、ルーダ。

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大成敦
ファイティングスポーツクラブ大誠塾所属
1967年10月3日生まれ
大阪府出身
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